そこにふと眼がいくというのは君の裡にそれがあるわけで、おそらく裡は他者だけでなく、己以外の森羅万象で充ちている。例えば木を觀れば、その木肌が丹田の傍らから右内耳の奥へと流れていくこともあるだろう。こうして君は木に初めて触る体験をする。あゝ、これは微雨あがりの木肌だと。知らんけど。