◆「二重分節」という比喩的ふくらみをも持つ概念がとても重要であるし有用だと思う。分節が諸項の接続秩序を生むところ、分節自体に自由が内在されているが、二重分節はそこにさらなる自由を加えることにつながる(もちろん、どの段階にも教条化という暗転の契機をもつ。これは避けられない)。
◆マルチネの二重分節(言語の持つ経済性(有限の素材)と創造性(無限の現象)).「有限のことばを使って無限のものごとを表現する...」佐藤信夫『レトリック感覚』62頁).対象(文、文学作品、世界)に応じ分節の相貌はかなり複雑であり、縦にも横にもかつ何重にも取りうるのではないか。