勘九郎と七之助、五代目菊五郎ゆずりの覚悟。勘太郎、長三郎の巡業出演について。
中村屋の錦繍公演は、私たちの世代にとっておなじみだ。コロナウィールスの脅威によって、昨年は実現できず、今年は、春暁として巡業が持たれることになったと聞く。
歌舞伎の巡業は、公文協といって日本全国の地方公共団体が持っているホールを巡ることが多い。こうしたシステムでは、コロナの状況下では、公演実施に踏み切りにくいのが現実だろうと思う。別に自治体を責めているわけではない。彼らには彼らの事情があり、安全第一で運営するのは、公務員の定めだと思う。
ところが、勘九郎、七之助の兄弟は例年よりは、数少ないけれども、独自の公演を行うという。
3月30日(火) 愛知・刈谷 刈谷市総合文化センターアイリス
3月31日(水) 広島・東広島 東広島芸術文化ホール
4月2日(金) 兵庫・西宮 兵庫県立芸術文化センター
4月3日(土) 東京・渋谷 LINE CUBE SHIBUYA
4月4日(日) 東京・新宿 新宿文化センター
これはどんなときでも歌舞伎の実演を地域に届けようとする兄弟の意志だろうと思う。
部屋子の鶴松が参加するのもうれしい。また、今回、勘九郎の子供たち、勘太郎と長三郎が加わるのも、芸能者としての覚悟を感じた。どんなときでも、子供だからという弁解なしに、観客を向かい合う。
勘九郎、七之助の曾祖父にあたる六代目菊五郎は、本名を幸三という。あるとき幼少だった六代目は、高熱を出した。舞台に出るのをとめようとする母に向かって、父にあたる五代目は、「幸坊は俺の子だ」と言い放ったと五代目の自伝にある。
年々、演劇を観るのが楽しくなってきました。20代から30代のときの感触が戻ってきたようが気がします。これからは、小劇場からミュージカル、歌舞伎まで、ジャンルにこだわらず、よい舞台を紹介していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。