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天才と名人 中村勘三郎と坂東三津五郎

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今もあふれる悲しみ。『天才と名人 中村勘三郎と坂東三津五郎』(文春新書)を書くことになったのも、私にとっては宿命だったような気がしています。いつまでも忘れられず、記憶のなかで生き…
ふたりの天才と名人のことが今でも、こころから離れません。『天才と名人 中村勘三郎と坂東三津五郎』(…
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記事一覧

「三田文學」秋季号に、勘九郎の『髪結新三』の悪、その色気について書きました

 「團菊爺から勘三津爺へ」と題して、雑誌「三田文學」に時評を書きました。ご想像の通り、早…

長谷部浩
1か月前
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【劇評354】歌舞伎座夜の部。『婦系図』と『源氏物語』に伝承の意味を考える。七枚。

歌舞伎の伝承について  歌舞伎の伝承について、この頃考えに沈む。  十八代目勘三郎、十代…

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長谷部浩
1か月前
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【劇評346】勘九郎の『髪結新三』。果敢な挑戦。

型の美しさより、人間の業と考えれば、勘九郎初役の『髪結新三』が、がぜん意味を持ってくる。…

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長谷部浩
3か月前
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ひとかどの役者と、なりおおせるために かつての納涼歌舞伎を振り返る。その3 『野…

 平成十一年に、惜しまれつつ九代目三津五郎が死去した。翌々年の一月には、八十助は十代目を…

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長谷部浩
3か月前
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ひとかどの役者と、なりおおせるために かつての納涼歌舞伎を振り返る。その2 円朝…

 勘三郎と三津五郎が注ぎ込んだ熱は、一年では終わらなかった。  年を追うごとに、納涼歌舞…

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長谷部浩
3か月前
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ひとかどの役者と、なりおおせるために かつての納涼歌舞伎を振り返る。その1 勘三…

 かつて、十代目坂東三津五郎と定期的に会う機会があった。単行本の取材のためである。  話…

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長谷部浩
3か月前
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【追悼】近くて遠い人。写真家、篠山紀信の想い出。

 神出鬼没の人だった。  篠山紀信と会った場所を思い出せばきりがない。青山のスタジオはもとより、パリの劇場やレストラン、NYの平成中村座周辺は、偶然なのか必然なのか、ばったり会った。  かといって、親しく話したことは一度もない。 「どうも」といって別れるだけの関係だった。今となっては惜しいような気もするが、この不世出の写真家と何を話せば分からなかった。中村勘三郎や野田秀樹、興味の関心が似ていたこともあって、ばったり会うのは必然だったし、そのことは、きっと紀信さんもわかっ

¥300

鶴松がお光を勤める『野崎村』。勘三郎の思い出。

 猿若祭二月大歌舞伎。もう十三回忌となるのか。墓参りは欠かさないようにしているが、今も、…

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長谷部浩
1年前
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【追悼】無類の役者、四代目左團次のユーモアについて。

 代表作ではなく、口上から追悼を書き始めることをお許しいただきたい。  襲名や追善の口上…

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長谷部浩
1年前
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京都の花街、愛したり、食べたり、裏切ったり。

 京都の花街のシステムには、人を惹きつけてやまない深さがある。  是枝裕和総監督の『舞妓…

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長谷部浩
1年前
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【劇評288】彌十郎が、故・勘三郎を彷彿とさせた。『人間万事金世中』。

 強欲な家族に徹している。  新春の歌舞伎座第二部『人間万事金世中』(今井豊茂演出)は、…

長谷部浩
1年前
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【劇評287】目に焼き付けておきたい玉三郎の揚巻。

 師走の襲名披露は、一年の締めくくり。しかも夜の部は、配役を一新した『助六由縁江戸桜』が…

長谷部浩
2年前
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【劇評286】觀玄改め、八代目新之助の『毛抜』は、荒事の本質に届いていた。

 堀越勸玄は、ひとかどの役者へと進み始めた。  十二月の歌舞伎座は、八代目市川新之助襲名…

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長谷部浩
2年前
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ニュヨークスケッチ2 ザ・ドラマ・ブックショップのトートバッグに出会う。

 なにしろ二一年振りのNYだから、かつて訪ねた場所が懐かしい。  メトロポリタン歌劇場の向かって左にある公園には、平成中村座が建っていたなとか、セントラルパークサウスのパークメレディアンホテルには、勘三郎以下、役者も関係者も記者も、みんながこぞって泊まっていたなとか、懐かしい光景を目が探し求めていた。  けれど、あえてその場所を訪ねたりはしなかった。  終わったことは、終わったこと。これまで行ったことのないところを求めて、友人たちのアドバイスに従って、NYを歩いた。