見出し画像

玉三郎の代役を菊之助が勤める。歌舞伎役者のたしなみについて考えた。

 歌舞伎役者の誇りは、急な代役が勤められるところにある。
 レパートリーシアターならではのプライドだが、めったに出ない演目、しかも一座に過去に勤めたことのある役者がいない場合は、いったい、だれから教えを受け、突発的な代役となるのか、昔から、疑問に思ってきた。

 今回、十二月の歌舞伎座第四部『日本振袖始』もまた、かなり例外的な代役となるのだろう。
 岩永姫を勤めるはずだった玉三郎が新型コロナウイルスの濃厚接触者となり、一日の初日から七日までは、菊之助が代役と決まった。

 一般的に、だれに代役を勤めさせるかは、芯となる玉三郎と演劇制作が相談して決めるのだろうが、玉三郎は、深刻な病状だとは聞いていない。入院も発表されておらず、自宅もしくはそれに準じた場所で、静かに暮らしている。 いったい、菊之助は玉三郎に、どんなかたちで教えを受けるのだろうか。

ここから先は

1,500字
この記事のみ ¥ 100

年々、演劇を観るのが楽しくなってきました。20代から30代のときの感触が戻ってきたようが気がします。これからは、小劇場からミュージカル、歌舞伎まで、ジャンルにこだわらず、よい舞台を紹介していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。