役者人生に微妙で、重大な影響を与える「代役」。玉三郎、三津五郎、海老蔵、菊之助について。
代役という言葉にひかれる。
歌舞伎の世界に留まらず、代役によってチャンスを得た人は多いに違いない。
私が一九九九年から五年ほど、日本経済新聞で現代演劇の批評を書く機会を与えられたのも、代役だったと聞く。
予定していた筆者に不都合があって、亡くなった文化部編集委員の川本雄三さんが推薦して下さった。川本さんとは芸術祭の審査委員でご一緒していたときに毎日のように劇場でお目にかかった。その決め手になったのは、「観劇態度がよい」だったと周囲から聞いた。姿勢を崩さずに観ていたのが