【読書】エコノミック・アニマルについての考察『自分の中に毒を持て/岡本太郎著』
太陽の塔を作った岡本太郎さんの著「自分の中に毒を持て」という本を読んだ。
芸術を営んでいる、特に夏はどんなに暑いとわかっていても、1年中、上下黒い服しか着ないという信念を貫いている友人のバイブルと言える一冊だと、その友人に紹介されて読んだのだけれど、勢いのある、毒々しい、勇ましすぎる、力強いメッセージの数々に圧倒され、読む人にとっては劇薬にもなりうるだろう強い影響を真に受けて、あぁ、その友人にとっても、まさに劇薬に、エネルギーの根源になっている一冊なのだろうなと、妙に納得しながら読んだ。
読み進める中で、海外で長くを過ごした著者が、日本人をエコノミック・アニマルと評して、痛烈に批判的な立場をとっている主張があって、それにとても心揺さぶられたので、それについて今日は少し考察してみようと思う。
そもそもエコノミックアニマルとは・・・
著者は、その言葉を使い、海外から見た日本人という目線で、かなり批判的な立場を取りながら主張を展開している。
著者は本の中で、「人間らしく生きること、己自身と闘って、生を感じながら生きて、自分なりの生きがいを芸術をして生きること。」を全体を通してずっと主張しているように私は感じた。そしてその中で、それと相対する生き方として、エコノミック・アニマルとして生きている日本人を痛烈に批判しているところが、とても面白いなと思った。つまり、著者から見れば、エコノミック・アニマルとして生きることは、「人間らしくない、人間としての魅力がない。」と引用からもわかるように、そう主張しているのである。
もちろん、時代は変わってきているし、少し極端な意見なのかもしれないけれど、よくよく自分自身を振り返ってみると、まさに私自身も、著者が批判しているエコノミック・アニマルに値していることに嫌でも気づかされた。
エコノミック・アニマルな自分
それなりにアニマルの要素が強いと思っていた自分だったけれど、思ったよりエコノミックだった。
・無職の今、この無職の期間をいくらで過ごせるかお金の問題で悩んでいる。
・お金のことが心配になり、早めに仕事を探した方がよいのではないかと、特に夜、急に不安になり、求人や転職サイトをぐるぐるとサーフィンし続けてしまう。
・けれど、自分が惹かれる求人なんてなくて、そもそも働きたくない意思の方が強くて、そんな自分はもう社会復帰して働くことができないのではないかと自暴自棄に陥ってしまう。
・不安なのはお金なのではなくて、社会の中で肩書がない、何者でもないことの方がむしろ、不安で不安で仕方ないのではないかとよく自分がわからなくなる。
「無職という時間を手にして、自分自身を見つめなおそう。新しい自分に挑戦しよう。」そんなことを意気込み、我が道を行く百獣の王ライオンになった気分になって、野生の風を吹かせていたはずの、アニマル的な自分は、無職になって早3日も経たないうちに、どこかに消えてしまいそうになっている。
恐るべしエコノミック。
シンプルに怖い。そうやって、経済活動を行うこと、社会の一員として生きることが第一正義となった世の中で生きてきてしまった結果、いつのまにかその価値観が、骨の髄までしみこんで、そこから抜け出せなくなっている自分が、社会が途方もなく怖い。
そして、そんなことを考えて、改めて著者の引用した文章を読み直すと、そこに記載された「カミカゼ」の意味が嫌というほどにわかって、本当に背筋が凍ったみたいにゾッとした。
アニマルになりたい
シンプルにそう思う。いや、アニマルになりきる必要はないのかもしれないけれど、どちらかというと、自分自身を支配しているエコノミックな要素を少しずつでもいいから、取り払って、筆者の言う、人間本来の魅力みたいなものをちゃんと持って生きていきたい。そう思う。
では、そうなるために何をしようか。
の答えはまだ見つからなかったけれど、そんな自分自身の背中を押してくれる文章が本の中に散りばめられていたので、忘れないように下記に引用しておこうと思う。
今度、太陽の塔を見にいこうと思う。