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【読書】お金の呪縛から解き放たれたい(その2)『年収90万円で東京ハッピーライフ/大原扁理著』

自分自身の人生を蝕む「お金の呪縛」から解き放たれようと、私は次にこの本を手に取った。

どうやら、お金に「向き合う」という過程の中で、自分が望んでいた理想像(世間でいう投資とか、NISAとか、副業とか、増やす観点へのモチベーションを持つこと)とはかけ離れてきている気配を感じている。

まぁいっか。それでも別に。
お金なくても幸せに思えるならそれでいいじゃん。

そんなことを想起させてくれるこれまた素敵な本だった。
私的に、ここまで究極なお金との向き合い方ができるなら、ある意味人生勝ち組だと勝手に思ってしまった本だった。

そういう著者の生き方をこの本を読んで、「究極」だと思ってしまっている以上、私には著者の生き方を完全にコピーすることは無理だと思う。けれど、部分部分で、自分自身にも取り入れることができる考え方がいくつかあったので、忘れないようにここに綴っておこうと思う。

自分自身の「幸せ」を自分自身が把握しておくことの大切さ

じゃあ、どんな場合にも当てはまる、いちばん大切なことって何でしょうか?それは、「どうすれば自分が幸せか?」を他の誰でもなく、自分自身が知っていることじゃないかな。その上で、まるで魚が潮目を読むように、物事が流れていく方向や、状況の変化を的確にキャッチして、自分の感覚を信じて行動していくこと。これさえ知っていれば、ちょっとぐらい流行とか景気とか人間関係、周辺環境が変わっても、しなやかにその中で幸せになれるはず。

本書より引用

さらっと、著者は上記のように書いているけれど、これって想像以上に難しいことだなと思った。難しくなっている要因の一番にインスタを中心としたSNSの身近さが挙げられると思う。


私もアカウントを持っているけれど、インスタって誰かの「幸せ」で溢れている。たとえそれが、作り上げられた虚構の「幸せ」であったとしても、パッと流れてきただけじゃ、それがあたかもあたりまえの、常識的な「幸せ」に映ってしまう。


あぁ、私この「幸せ」持ってないって、あぁ、誰か私と同じ「幸せ」持ってる人いないかなって、無意識のうちにその世界に虚構であるがゆえに存在しないはずの自分の「幸せ」を探して、スクロールの旅に出る。

その時点で、自分の本当の「幸せ」なんて手に入れられるはずないのだ。
とある友人が、数年前「インスタのアプリ消したら、めちゃくちゃ生きやすくなった。」的なことを言っていたけれど、それは本質なんだろうなとこの部分を読みながら思ってしまった。

では、どうすれば自分にとってベストな生き方が見つかるか。これはですね、外側に開拓していくのではなくて、内側に進んでいくのが意外と根本的な解決の糸口になります。自分が本当は何が好きなのか、どういう暮らしを幸せと思えるのか。自分とずーっと向き合うのってしんどいし、途中でどうしてもめんどくさくなって、流行りに乗っかっとけばオッケー、ということにしたくなる。そこを踏ん張って、イヤになるほど向き合って自分を掘り下げていくんです。そして、いったん自分の源流みたいなものを見つけたら、迷わなくなります。外野がなんと言おうが、その先に自分にとってベストな生き方があると思う。というのが表面的な答えです。・・・・・しかし、そのさらに奥ではどう思ってるかと探ってみると・・・・・。自分の選択した生き方が、正しいとか間違ってるとか、なんで人に言ったり、証明したり、認めてもらわなきゃいけないんだろう、と思ってます。そういう目的で人と比べたりするのって、あんまり興味が持てない。だってどうでもいいし。それを知ってどうするんだろう、とか思っちゃう。でも真面目な話、それぐらいにしとくと、すごくラクなんです。

本書より引用

ここに書いてある内側へと向き合う作業も、結構大変だ。
けどそういえば、最近こういう内側に対する作業ってやったなって、自分自身に身に覚えがあったので、振り返ってみたら、そういえばタイに行ったときのことを思い出した。

ここでいう内側への矢印って、「今住んでいる日本という地を離れること」が意外と促進してくれたりするのかなと思ったりした。
著者も本の中で、いたるところに海外での放浪生活の気づきを記載しているので、なんとなく納得がいった。

おそらく、故郷の地を離れることで、外野を気にしなくてすむ部分が一番大きいのだと思う。だって、外野を気にしようと思っても、言語が通じないから、気にしようがないのだ。

ある意味、言葉が通じないって、つらいけど、嫌でも周りの目を気にしなくて済むからそれによって、内側への作業がよりやりやすく、促進されるのだと思う。

お金はかかるけど、ある意味投資という観点で、自分の生き方を内側へ突きつめるために、定期的にこれからも海外に行こうと思えた記述だった。

迷ったとき・つらくなったときの消去法

そこで、どうしても進まなきゃいけないときは、消去法がオススメです。というのは、人間、やりたいことはわかんなくても、やりたくないことだけは意外と迷わないんですよね。目の前にある選択肢から、どれをやりたいかではなく、やりたくないものからどんどん消去していきます。残ったものから「これならまあガマンできるかな」というものを選ぶんです。あー、いいのいいの、完璧じゃなくて。これ正解とかないですから。繰り返しますが、大切なのは「好きなことで生きていく」じゃなくて、「イヤなことで死なない」。そんなハードル高く設定しないほうが、後から絶望しなくてすむんです。

本書より引用

大学生時代にこの考え方に出会ってから、だいぶ助けられた考え方だと思う。でも注意しないといけないのは、この「消去法」って「妥協」じゃんって言われる社会に生きているということ。

どんなに記憶をたどっても、義務教育においてこの「消去法」を私に教えてくれる大人はいなかったなと改めて。

どちらかというと
「自分の可能性を信じて頑張れ!」
「限界なんて作らずに突破しろ!」って
そうやって妥協を許さない生き方から、命からがら必死で逃げてきた人生だったように思う。

もちろん、そういう「妥協せず自分の可能性を信じること」って大切だったりするけれど、そんなこと呼吸もままならないくらいに毎日頑張っていたら、普通に死んじゃう。

著者もここに書いているように「イヤなことで死なない。」ってめちゃくちゃ共感できるなと思っていて、ここで言う「死ぬ。」って物理的に誰かに刀で斬られるとかそういった話じゃなくって、私的には「病む。」みたいな表現が一番近く言い換えられるのではないかと思ったりする。

「病む。」って本当にしんどいこと。つらくて、訳もなく悲しくなって、いとも簡単に生きる意味を見失ってしまう。

だからこそ、そうなるくらいなら、消去法をうまく活用して、できる限り自分が「病まない。」方向性を探ることって、生きていく上でめちゃくちゃ大切だなと思うけれど、意外と社会はそうでもなかったりする温度感で接してくるので、忘れないように改めて頭に刻んでおこうと思った。


お金に対する向き合い方

私はお金を「所有してる」という考えが薄いんじゃないかと、思い当たりました。お金がわたしのところに来たければ来るし、来たくなければ何しても来ない。ぜーんぶお金の意思に任せてる。わたしに出来ることは、「この人のところに行きたい」「この人ならお金を大事に使ってくれる」とお金に思われる人になるよう、努力をすることだけです。そんなわけで今はお金がないから、たとえば海外には行けないけど、お金がわたしを海外に行かせたい、わたしはそれにふさわしい人物で、こいつを海外に行かせたらきっと面白いことになる、と思われるようになれば、もっと来てくれるでしょう。だからあんまり心配もしてません。

本書より引用

お金に対して「お金の意思」を尊重して生きている人って、私は著者以外にいないんじゃないかと思ってしまうくらい新しくて斬新な考え方だった。

けれど、ここに著者の生き方の真骨頂を見た気がした。
それに、こういうお金との距離感を保って生きていくことができるなら、それはとても幸せなことなんじゃないかと思った。

これからもおそらく、たくさんのお金の価値観に触れていくと思うけれど、この著者の考え方は、1つ自分の生き方のヒントにしていこうと思った。

こないだ、インド料理店で働くネパール人と話していたら、面白いことを言ってました。「2~3年仕事がないという人もネパールにはたくさんいるけど、不景気でも自分のお店と家族がいれば生きてはいけるから、誰も日本人みたいに焦ってない」んだって。たしかにセーフティネットがお金しかないとしんどそうですもんね。わたしには、お金がなくても時間はたくさんあるし、数は少ないけど大切な友人たちもいるし、実家に帰れば家族もいます。家がなくなってもみんなで少しずつ助け合って生きていけると思うので、そんなに慌てなくてもいいかんじです。・・・・・これって、有名な投資の用語で、「ひとつのカゴに全部の卵を入れるな」っていう話みたい。現金、貯金、時間、仕事(本業/副業)、友人、地域コミュニティ、家族、住むとこ、畑、自分の才能・・・・。得意分野は多めに。これぐらい持ってたら、いざ仕事がなくなったときでもいきなり露頭に迷うことはないでしょう。

本書より引用

そして、お金に代わる、自分の選択肢。上記は、俗に言う「投資」の考え方の本質だと思う。お金お金しすぎるんじゃなくて、自分のお金に代わる選択肢を増やしていくこと。これも大切にしていきたい観点だなと思った。

とはいえとはいえ、まだまだ私のお金への「向き合う」作業は道半ばだ。
これからもたくさんのお金の価値観に触れていこうとは思うけれど、根本的な部分で著者の考え方は忘れずに、頭に入れておこうと思える素敵な本だった。


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