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宙に浮いた言葉たち|日記(10/9-10/10)

10月9日(水)
休日。朝から病院で診察。うまくいけば今日で病院に行くのは最後になる。仕事に行く日と同じ時間に家を出る。

予約したのは9時だったが、早めに呼んでもらえた。口を開くのが下手くそなので、先生に4回くらい「あーって声を出してください」と言われ、ロングトーンばりに声を出し続けた。
「もうかさぶたが剥がれたので、今日で最後になります」と聞いてホッとする。
今後は普通の生活に戻っていいかと気になり、「普通の生活…」と呟くと「あ、もう通常通りに生活できてるんですね」と先に言われ、
固いものも食べていいか気になり「食事…」と呟くも「食事も普通に食べられているんですね」と遮られてしまった。
最後まで会話が噛み合わなかったが、救急診療の時も嫌な顔ひとつせず真摯に向き合ってくれた先生には感謝しかない。

バスに乗って図書館へ行き、予約本の受け取り。今日は初めて本のリクエストをしてみることにした。くどうれいんの『日記の練習』と朝井リョウの『生殖記』を注文。
カウンターに持って行くと、スタッフさんが2人がかりでデータ確認をしてくれた。この人たちが朝井リョウの新刊を知らなかったら、めちゃくちゃタイトルが恥ずかしいな…と思った。

お次はスーパーに行き、明後日までの食材の買い出し。2,000円程度に抑えられてえらい。
気軽にキッチン用品を見たい気分だったので、途中でセリアに寄った。10時前に着いてしまいドアの前で開店を待つガチ勢みたいになってしまったけど、実は久々に来た。
うろうろしていると先程スーパーで見かけた人を発見。同じ流れで買い物をしていることに親近感が湧いた。

一度家に帰り荷物を置いてから、バーガーキングへ。アボカドワッパーJr.セットで、ポテトをLに変更。入院してからずっと我慢していたフライドポテトとようやく再会。
『家、ついて行ってイイですか?』の最新回を観ながら食べる。

ハッピーセット

ダラダラしたあとは、明日からの夜ご飯用にカレーの作り置き。続けて今日の夜ご飯を仕込んでいたら、二時間が経過していた。なんかずっと何らかの家事をしている気がして、私の場合好きでやってるからいいけど、世の中の主婦すごすぎるなと思う。

休みながらnoteで昨日分の日記を書いて投稿。数分後すぐに読んでくれた人たちがいて、ありがとうの気持ち。夫が帰ってくるまでの30分間は簿記の勉強。小テストが全然解けてなくて凹む。

帰宅した彼と一緒に夜ご飯。今夜はピーマンの肉詰めとサラダ、さつまいもと油揚げのお味噌汁。
我が家にはパン粉がないので使わずに肉詰めを作ったが、美味しくできた。
夫が味噌汁を飲んで、「なんかいつもと違う味がする」と言う。
カレーを作った後のお玉を使って、洗ったのに味が若干ついてしまったことを見抜くとはさすがだ。

ピーマン消費レシピ

食後はゆっくりしてから勉強。人がいる方が集中できるから、リビングでやることに。分からないことがある度に先生!と夫を呼び、教えてもらう。前受金と前払金の項目を学んでいるときは、「今どっちが地面師かで考えてみな」とユニークなアドバイスをしてくれた。「こっちが"もうええでしょう側"だから…」と説明するので面白い。

彼は学生時代、時給4,000円(聞いたことない額)で家庭教師をしていただけあって、教えるのが上手い。
思わず「先生、好きです…」と言うと、「私も好きですよ」と応えてくれた。禁断の恋すぎる。

1時間半ほど勉強し終えてから夫と他愛もない話をするも、途中で「なんて言ったの?」と聞きかえされてしまう。付き合ったばかりの頃はその都度言い直していたが、あまりにも回数が多いので段々面倒に思うようになり、「何でもない」で片付けるようになってしまった。

今日は遂にこのことについて夫が言及し、
「僕は耳が悪くて君は滑舌が悪いから、言葉が宙に浮いちゃってる」と考察していた。言葉が宙に…と思い、二人で虚空を見つめていたらその様子が可笑しくなってきて、吹き出してしまった。
その後も私の言葉が聞き取れない度に、「ほら、言葉が宙に浮いちゃってるから回収して!」と言ってきて面白かった。

私は舌足らずで話すのもゆっくりだから、昔から人によくモノマネされて揶揄われていた。
しかし彼は出会った頃から「舌足らずなところが可愛い」と言ってくれている。
彼が可愛いがったりユーモラスに解釈してくれると、コンプレックスに対してもこれでいいのだと思えるようになるから不思議だ。


10月10日(木)
空気がひんやりとしている。先日買ったアーガイル柄の薄手ニットに袖を通し、トレンチコートを着て外に出る。マスタード色の靴下を履いたらとっても秋らしい服装になった。

通勤のバスで星野源の『いのちの車窓から2』を読み進める。私は彼ほど芸能人ぽくない人を知らない。(褒め言葉)だからこそ、読者の生活にもそっと寄り添ってくれるような感覚があり、安心して読み進めることができる。
星野源の繊細な文章は、少し肌寒くなってきた空気によく似合うなと思った。

出社して本社の先輩と電話。
「いつも細かく丁寧に仕事してくださるから、先月数字のズレが少なかったんです」と褒めてもらえてとても嬉しかった。ついでに昨日は休めたかと聞かれたので(優しい)、最後の診察を終えたことを伝える。
「でも辛いものには注意してくださいね!前ビビンバを食べた時のお話が面白かったね〜って、こちらで話題になっていたんですよ。」
そう言われて、術後に間違えてキムチ食べて爆死した話を先輩たちにしたことを思い出した。大人になって面白いと言われるのは何だか新鮮で、照れてしまった。

私が電話をしているうちに、お偉いさんのおじいちゃんも出社してきた。うろうろしてるなと思ったら、黙って紅茶の入ったマグカップを机に置いてくれた。どっちが部下かわからない。
あとでお礼を言いに行くと、「マグカップ洗浄済みですから」と誇らしげに言われた。先日の件を持ちネタにしているようだ。

午前中は頼まれた仕事を進めながら、おじいちゃんのPCを直してあげたりしていた。昼休みは星野源ANNを聞きながらお弁当を食べ、余った時間でnoteを書く。いい文章を読むと、自分も何か書きたくなる。

午後は溜まっていた通常の業務をやる。事務所に誰もいない時間が多かったから、lofi hiphopを聞きながら仕事した。
ミスを発見したので他部署に向かう。最初は快く受け入れてくれたのに、次行くとご機嫌斜めな対応をされてしまった。久々に人にイライラされたなと思う。
退勤後、外が寒いのも相まってそんなに元気なかったけど、同じバスに乗っていた外国人男性が先に降車するのをスマートに譲ってくれて温かい気持ちになった。

家に帰って夕飯の支度。昨日作っておいたカレーを温めつつ、茹で卵を作る。時間ができたので先にのんびりお風呂に浸かっていると、夫が早めに帰ってきた。
「僕、何か手伝うことある?」と台所におずおず来る様子は夫というより息子っぽい。カレーを並べると「何で二日目のカレーはこんなにとろとろなんだ!」と歓喜していた。

8月ぶりのカレー

退院後ずっとカレーを食べれなかったから、とても美味しく感じた。大きめに切っても毎回ジャガイモが溶けてしまうのだけ悩み。

食後は簿記の勉強。先にお風呂に入ったのにも関わらず今日は眠気がそれほどなく、集中できた。小テストも丸が多くて嬉しい。1時間45分勉強できたので、先日の分を取り返すことができた。

寝る前に気になっていたアニメ『チ。』を観る。あまり見たことがない性格の主人公が新鮮だし、教科書で見ただけの地動説についての知識がドラマチックに胸に迫ってきた。
作風もハガレンに似た雰囲気でかなり好み。最後に流れたサカナクションの主題歌も良すぎる。

あまりうまく寝付けなくて、この日は0時半くらいに就寝した。

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