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プロジェクトで後悔しないために

プロジェクトの成功とは?

プロジェクトが成功と呼べる状態とは、どういう状態を指すのでしょう?予定の期日に、予定通りの成果が出て、関わった人も、成果物の利用者となる人も、みんなが満足して大喜び!そんな結果になれば、プロジェクトは成功と言えるでしょう。実際には、スケジュールが遅れたり、利用者から後々苦情が出たり、一筋縄ではいかないものですが。

プロジェクトが成功と呼べる状態とは?
 (1)プロジェクトに関わった人が傷を負わなかった。
 (2)プロジェクトに関わった人がスキルアップを果たした。
先ほど示した以外に、この2つを満たせれば、プロジェクトは間違いなく成功と呼べるでしょう。ここでは、主として(1)について、思うところを述べさせていただきます。

ケガしたらあかん

話は変わりますが、ある野球解説者の人が、「ケガしたらあかん。ケガしたら何にもならん」ということを仰っていました。試合に勝った。優勝した。目的を達成できてすばらしいことです。けれどもエースが肩を壊した。選手として再起できなくなった。或いは、レギュラーのうち3名が故障しながら無理して試合に出続け、結果は出したけれども選手寿命を縮めた、とか。
「ケガしたらあかん。ケガしたら何にもならん」私は、その通りだと思いました。そして、プロジェクトにも、同じことが言えると思ったのです。

プロジェクトの意義

ある課題に対して目標を設定し、メンバーを組んで計画的に対応する。規模の大小はありますが、プロジェクトと呼ばれるものは、そういった形で期限を決めて進められます。

日々継続的に行われている業務とは違った動きが必要であり、別扱いするだけのハードさや価値があるからこそ、わざわざ、通常の組織とは別のメンバー構成にしたり、「×××プロジェクト」という名前を付けたりするのでしょう。

そこでは、普段とは違った行動が求められたり、新たな知識や技術の取得が必要になるケースがほとんどです。そのために、社内でも異なる組織の人がかかわったり、社外の人が関わったりということになります。いつもと同じメンバーで、いつもと同じ方法で完結できるなら、わざわざ「プロジェクト」を立ち上げる必要は無いのですから。

慣れていない人にはたいへん!

あるプロジェクトが完了すると、次のプロジェクトへ、という、ことに慣れている人たちがいます。IT関係であれば、A社の人事システム開発でマネージャを担当していた人が、次のB社の会計システムプロジェクトにはSEとして役割を果たす、とか。ほかの業界でも、新商品開発とか、町づくりとか、プロジェクト単位で動く仕事はたくさんあります。

けれども、そういった形に慣れていない人たちもたくさんいます。業種や職種にもよりますが、ほぼ、固定のメンバーで、定型業務を行う組織に属している場合など。プロジェクトというものは、こういった形に不慣れな方々を巻き込んで進める必要があるケースが多いというのも事実です。

プロジェクト慣れしていないと、さまざまな場面で気分を害したり、モチベーションが下がったり、人間関係が悪くなったりします。プロジェクトを離脱する、というだけに留まらず、退職するという人も出てきたりします。プロジェクト期間中に、やる気を無くしてしまう人もいれば、何とか頑張っていたのに、プロジェクト完了にこぎつけた途端に燃え尽きてしまって、以降の仕事に身が入らなくなるような人もいます。

そういった人を「弱い人」「ダメな人」と言うのではなく、そういった状態にならないようにする、というのがプロジェクトマネージャの重要な役割です。納期、仕様変更、無理な要求、費用対効果....どうしても、そちらを優先しなければならないというのは現実です。けれども、そこにもう一つ「ケガしたらあかん。ケガしたら何にもならん」の意識を持つことが大切です。これは、とても難しいことです。口で言うほど簡単ではありません。

例えばこんなことが...

事例1
「なぜ自分がこういう作業を行わなければならないのか?」
不慣れな行動を求められる中で、なかなか状況に適応できず、「やってられない」と言い出したりします。プロジェクトメンバーにアサインされているのは、彼が持っている知識なり技術なり行動力なり、何らかのものをプロジェクトが必要としているからです。もしくは、プロジェクトメンバーとしての業務を経験することで、将来に活かして欲しくてアサインされているはずです。ほんの些細なことで(本人にとっては些細ではないのでしょう)、投げ出す気分にさせないよう方向づけする必要があります。彼が不慣れとしている作業について、経験値の高い人と共同作業する期間を設けるなどして、経験値を高めさせる対応が必要です。

事例2
「ひとつ課題を解決すると、次々と、より深い課題が見つかる。やってもやっても終わらない!!」
実は、そこがプロジェクトで学ぶチャンスなのですが、慣れていない人にとっては苦痛でしかありません。何とか興味を持たせたり、ゴールの喜びを思い描かせるように持っていく必要があります。こういうときは、ちょっと面倒かもしれませんが、短い単位でゴール設定し、その都度、状況確認を行います。そして、その短い単位ごとに成果をしっかり認めるようにする。本人が達成感を感じるように。

事例3
かなり労力を要して資料を作成した。自己ベストといえるくらいエネルギーを費やした成果物だった。にも関わらず周囲の反応が悪い。そのうえ、どう見ても自分より楽なことしかしていない人に文句を言われてやる気を失った。」
そんな気分のまま、モチベーションが下がりきった状態になる人もいます。
「何を甘えてんねん」と思う方もいるでしょう。一定レベルの人ばかりを常にアサインできる組織なら、そういう考えでも大丈夫だと思います。ある程度、無理そうな人は退場してもらう形でプロジェクトを進めるということが可能であれば。けれども、そうはいかない組織もあります。限られたっメンバーで、何とか工夫しながら...
(まあ、こういうプロジェクトのマネージャは、プロ野球で言えば、弱いチームばかり率いて強くした野村克也さんみたいな気分になる必要があるかもしれません。)
こういう時は、どこに一番苦労したか、詳しく尋ねてみることです。どうやって解決したか、聞いてみることです。本人が自信を持っているのですから、質問には前のめりで答えてくれるでしょう。そうして、「わかってくれない人」もいるけれども、「わかっている人もいる」ということを伝えることで、本人がエネルギーを費やし続ける意味を感じ取ってもらうようにします。

どれも小さな事例です。本人の中で解決すべき問題という捉え方もできるでしょう。けれども、面倒がらず、本人たちによく話を聞いてみることが必要です。できるだけ、彼らの考えを吐き出させる。1対1で聞いたほうがいいのか、何人か交えた方がいいのか、状況によって判断します。そうすれば、彼らの発言の中から、ヒントが見つかるかもしれません。ちょっとした担当変更や、会議体の変更で気分が変わることもあります。「報告方法を、会議での説明ではなく、メール中心にする」とか、「指示系統を少し変える」といったことで好転するケースもあります。

まとめ

タスク管理、要員配置、スケジュール...学ばなければならないことは多々あります。それらは、ひとつひとつ、難しさもあり、頭を悩ませることが多々あります。学んだことを実行して結果を出すことはさらに難しいです。もともと、難しいことだからこそ、プロジェクトが組まれているのですから、普通に完了するだけでも難しいはずです。そんな中で、メンバーを傷つかせず、なおかつ成長を感じながら、なんて口先だけの理想論かもしれません。

先に書いた事例は、少しアレンジしていますが、ほぼ経験談です。偉そうな理想を書いていますが、この文章を書きながら、自分の対応を反省し、頭の中を整理しようとしているというのが実情です。やっぱり難しいことです。ただ、少なくとも、心掛けるくらいはしていきたいと思います。それだけでも、救える部分はあります。だからこそ、自分の関わったプロジェクトメンバーたちにも言っておくことにします。
「ケガしたらあかん。ケガしたら何にもならん」

最後までお読みいただきありがとうございました。こんな文章を31本書いて、kindleで出しています。ご興味のある方は、ぜひ読んでみて下さい。


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haruhi
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