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今週の読書録
先週手にした作品の続編や直木賞受賞作など、今週は4冊を読了。
今週は珍しく美味しい小説以外になりました。
夜に星を放つ
窪美澄さんの『夜に星を放つ」は、今年の直木賞受賞作です。
かけがえのない人間関係を失い傷ついた者たちが、再び誰かと心を通わせることができるのかを問いかける短編集。
という書籍紹介もあるように、星や夜空に関わる思い出と人との出会いと別れが描かれる作品。
作中の話と星座の伝説が少しずつリンクしているように感じました。
それぞれのエピソードの登場人物は独立しているので、いずれの話から読んでも影響なし。
主人公の年齢や属性に共通点はないものの、読了後にはなぜかまとまりのある印象。
明るい話題ではないものの、あとをひかずサラリと読める一冊です。
同じ直木賞受賞作でも「テスカトリポカ」のような強烈さはない、日常の一コマを切り取ったような作品でした。
ぶたぶたのお引越し
矢崎存美さんの「ぶたぶた」シリーズ、今回のテーマはお引越し。
定年後の地方移住体験、初めての東京一人暮らし、ぶたぶたさん自身の引っ越しの3つの短編です。
相変わらず特別仕様の車、ぶたぶたさんの飲食風景には、当然皆驚きます。
日常で起こるお悩みは、ぶたぶたさんと関わることで好転していく。
歩き、喋る、生きているぬいぐるみ・ぶたぶたさんと出会った人たちの少し不思議でほっこりする、ぶたぶたシリーズの最新刊です。
ほどなく、お別れです2,3
長月天音さんの「ほどなく、お別れです」シリーズ。
先週に引き続き残る既刊2冊を読了しました。
主人公が担当する葬儀は訳アリばかり。
2冊目の「それぞれの灯火」は、1冊目の延長のようなテイスト。
卒業後はアルバイト先の葬儀社に入社した主人公が、多様な葬儀を経験しながら成長していくお仕事小説の定番の流れです。
3冊目の「思い出の箱」では、これまでと少し流れが変わった印象を受けました。
新卒2年目を迎えて少し仕事に慣れてきた主人公。
新メンバーは大手葬儀社経験者の率先力で社長の甥。
言うことはいずれも正論ではあるが、やや癖のある新たなキャラクター登場に振り回さる主人公。
少し恋愛要素も加わり、ラストでは意外な人物の結婚報告も。
続編も楽しみな「ほどなく、お別れです」シリーズ。
こちらは小学館文庫小説賞を受賞した著者のデビュー作なのだとか。
著者自身が最愛の夫を亡くされたご経験があるようで、作中で登場する開業当時、すぐ間近でその盛況ぶりを見守ったスカイツリーにまつわるエピソード「いつかスカイツリーに登ろう」という果たせなかった約束も実話なのだそうです。
小説丸でのインタビューを読むとまた違う味わいのある印象的なシリーズです。
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