今週の読書録(2024.10.6)
日月潭の朱い花
デビュー作「楊花の歌」の小説すばる新人賞を受賞した青波杏さんの「日月潭の朱い花」。
主に台湾を舞台にしたミステリー。
日本統治時代の台湾と現代が交錯するきっかけはアンティークショップで購入した鞄の中から発見された日記。
日記の内容を読み解くうちに主人公たちは事件に巻き込まれ?関わっていく。
半引きこもりや現実から逃げ出したかった二人が、日記に出会ったことで急にアクティブな行動が増える。
ルームメイト二人が探し当てた70年前の真実は?
台湾、イタリア、美しい風景や名物料理も登場する作品です。
終活の準備はお済みですか?
葬儀社が系列ビジネスに参入する時代、桂望実さんの「終活の準備はお済ですか?」は現実にもありそうなエピソードもつまった連作短編集。
終活サロンは、悔いのない人生を終えるための準備を相談できる場所。
老いも若きも性別問わず、必ずいつかは訪れる人生の終わり。
余命が見えてきた人も今は健康な人もいつかは向き合うことになる。
5人の登場人物のライフプランや人間関係を切り出した本作では、元気な今だからこそ考えておきたい内容が満載。
小説としてはもちろん、ライフプランを考えるうえでも読みごたえのあった1冊。
「3千円の使い方」がお好きな方であれば、手に取ってみてもよいかもしれません。
時ひらく
表紙はご存じ三越の昔ながらの包装紙の柄。
「時ひらく」は、三越を舞台にした短編集です。
各物語は50P程度の移動中に読みやすい長さ。
大きな災害も乗り越えた三越やライオン像。
イギリスのハロッズを参考にしたともいわれる三越は、かつて文化の発祥地でもあったのだとか。
そんな三越では時々不思議なことが起こるという…
三越の包装紙「華ひらく」はアンパンマンで有名なやなせたかしさんがデザインしたという小話や三越の350年に及ぶ歴史を交えながらつづられる各話。
東野圭吾さんのガリレオシリーズとのコラボ作品などもあり、SFやミステリー要素が強めの作品が多かった印象。
戦国武将を推理する
今村翔吾さんの「戦国武将を推理する」は、『直木賞作家が8人の戦国武将をプロファイリング!』というコピーにひかれて手に取りました。
戦国武将として有名な大河の常連・3武将や戦国武将人気ランキング上位の人物たちを中心に人柄や政策などが今村さんの視点で語られています。
上杉謙信は部下からの裏切られたのは織田信長に並んでトップクラス。
あまりにもいうことを聞いてくれない部下に嫌気がさして、出家しようと引きこもった…
江戸時代が200年以上続いたのは、徳川家康が周囲の武将から学んで早めに事業承継を終わらせたから。
今川家人質時代は実は海外留学のようなものだった?
現代人の視点で当時の価値観や習慣をもとにまとめられているので、歴史好きはもちろんビジネス書として読んでも面白い一冊。