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【詩】湯に浸かる

源泉から引いた温泉で

人々が体をあたためる

湯舟から温泉の湯が

溢れ流れる

人々はすっかり

その湯に浸かっている


僕たちはその湯に

毎日のように浸かって

それが日常になっていく

皆が感じる当然の一致


浸かっている湯が

透明から黄色に変わる

黄色からオレンジに変わる

オレンジから赤に変わる



赤の色が強くなったころに

人々はこの湯の色はおかしくないか

右を見る左を見る

僕はわかっていなかった

湯に浸かって

その湯に何の疑問もなく

浸かり続けているのが

生きていると言うことではないと



赤い色に青い色が混じり

湯の色はずっと透明と言う常識は

崩れていく


浸かってきた

湯の色に染まり

湯を与える側は思い通りに

僕たちの体の色を変える


いま

僕たちは湯を与える側の

顔が見えるようになってきた

なんて面の皮の厚い

図々しい奴ら



僕たちは今までなんで

疑問を持たず湯に浸かっていた



これからは与えられた

湯を疑問もなく使う時は終わる



僕らは自分で自分にあった

源泉を探し

温泉の顔した水道水はいらない
















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久住ハル
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