
Photo by
take_kuroki
【詩】Left
左利きの手で書く文字
無骨な手にきれいな文字
ノートに黒板の文字を写す
隣の人に腕が当たって
ゴメンと手を上げる
だから左利きは嫌なんだ
彼は左利き
グラウンドでキャッチャーに
左投げで投球する姿を
フェンス越しにずっと見てる
重そうなリュックを背負って
グローブを持つ
大きい背中の後ろ姿を
教室のベランダから
目で追う
振り返る
振り返らない
空に向けた独り言
図書館で左利きの人を見ると
思い出す彼のこと
左手で本棚の本を取って
広げる姿
重ねてる彼と
廊下でただすれ違うだけ
ドキドキして息をのむ
想いが届く
想いが交差する
手をつかんだのは
私じゃなく彼で
ずっと前から
君が想うよりも
ずっと前から
見つめていたのは
僕の方
知らなかったでしょ
無骨な手が
私の手を包む
皮の剥けた指先
私の手がそっと触る
私が見続けた
彼の左利きの姿が
走馬灯のようによぎる
両方の手で
彼の左手に触れ
愛おしく
包み込んだ
いいなと思ったら応援しよう!
