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【詩】Scene

震える心の独り

バス帰りの中から見る朝日

後ろから聞こえる溜息

空気が凍る家族のリビング

後ろ指をさされる片足の少年

飲みたくないのに飲むアルコール

暗闇に光るスマホの画面

画面に映る自分の顔

冷え切った弁当

シンクにあるのはコップだけ

いつまでも来ない返事

眠れない時間を文字で埋める指

部屋に転がるペットボトル

履きつぶした靴

すがるのも無駄な偽者

見覚えのある横顔

違う世界が交叉する瞬間

冷え切った空気の月


忘れていた温もりのある手

昼に見る飛行機雲

渡される一杯のコーヒー

財布の中の家族写真

一輪挿しで咲くオリーブの花

シャッフルされて聞くイマジン

テーブルにあるおやすみの手書きメモ

部屋の中からみる満月

ソファーで丸くなるネコ

悲しみを洗い流すシャワー

心まで溶かす湯舟

明日の天気は晴れ

母親からのくだらないライン

窓を開けて車からだす大笑い

昨日ぶつけた頭の笑い話

席を譲り合って微笑む二人

おばあちゃんの荷物を持つ学生

温かい日差しの太陽



迎えたい太陽の今日




©2022 Haru kuzumi

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久住ハル
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