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数秒間が惜しい
時間は無限にあると思っていた。
でも今は時間が欲しくてたまらない。
ゴールデンウィークの計画をみっちり立てたはいいものの、ありがたいことに連絡がまだ鳴り止まない。
ははは、そんなに向暑はるに会いたいか。
今だけは自惚れさせてあげて欲しい。
これは向暑はるが地元の人気者なのではなく、多方面に帰省すると伝えたからである。
そんなことに気づいていない向暑はるは鼻の下を伸ばして仕事をしている。
マスクがあってよかった。
予定は既に埋まっているけど、どうにかして色んな人に会いたいし話をしたい。
解決策は、時間を伸ばすか、他の予定を少し削ることだろう。
前者はどうしても調整が効かない。
では後者か。
家族との時間を少し削ろうと思ったけど、悩み巡らせた結果、それはできないという方向に天秤が傾いていた。
数年前までは家族の時間なんていくらでも削れたはずなのに、今となっては家族との時間の方が惜しいと感じてしまうくらい大切になっている。
これが大人になるということなのだろうか。
心苦しいけど、断りの連絡を何人かに送った。
以前に比べて自由な時間が極端に減った今、数分たりとも時間を無駄にしたくないと思うことが多い。
最近、無駄に口数が増えたのはそのせいかもしれない。
時間が実は有限だと気づけたことによって、”いつでも”が”今しか”という考え方に変わり始めている。
良いように聞こえるけど、つまり大人になるということは時間が足りなくなるのだ。