#102 道徳は違いと揺さぶりが重要
皆さんこんにちは。
サッカー、旅行、読書、Voicy好きのコウチャンマンです。
今回も記事に辿り着いていただき、ありがとうございます。
日々の気付きから、私の学校現場での経験や教育行政という立場から学校を見てきた経験を皆さんのお役に立てたらと思い、記事にしております。
本日は、道徳の授業について語りたいと思います。
ある中学校1年生の道徳の授業を見てきました。
久しぶりに授業を見てきたので、感想と授業づくりのポイントを記事にしたいと思います。
考え、議論する道徳
このように言われて久しいですね。
平成27年3月に学習指導要領一部改定の告示がされ、小学校は平成30年度から、中学校は平成31年度から実施されました。
と言っても、移行期間もありましたので、多くの学校が平成28・29年度から道徳担当を中心として、準備をしてきたことでしょう。
ということは、9年経ったんですね。
多様性を認めるために、様々な意見があってよいというのはご理解いただけるでしょう。
だから、道徳の授業では意見を聞き入れ、考え、そして議論をする。
つまり、違いがあるから議論になるわけです。
皆が同じ意見だったら議論なんか始まりませんから。
そういう意味では、生徒にとっては最も議論がしやすい場となるのです。
題材は次のものです。
書籍等にもなっているため、画像は貼らない方がよいのかなと思い、書籍案内のページにしました。(画像の著作権等について詳しい人がいたら教えてください)
今回見た授業は、教科書をつかっていなかったので、おそらく先生方が探してきたのでしょう。
生命尊重が取り上げられた項目です。
2歳の時に白血病を患い、何とか治癒をしたのにも関わらず、13歳のときに脳腫瘍を患い、余命1年程度と宣告されてしまう話。
同じ13歳ということで自分に置き換えられると思います。そういう意味でよい題材ですよね。
この記事では見た授業についてよい、悪いという話はしたくありません。
この題材を用いて私だったらこのような授業展開が考えられるのではないかということを記事にします。
なぜなら、ここで頑張っていた先生方について話しても仕方ないですからね。
導入
入院することになったみぽりんは父親に絵手紙を書くように勧められます。
本人は最初は嫌がるものの、絵手紙を書ける日は毎日書くようになっていきます。
おいしそうな桃の絵、おいしそうなラーメンの絵、自分がスパイダーマンになった絵など、ユニークなものが多くありました。
これらの絵の内容は次の通りです。
桃の絵:入院初日に食べておいしかったもの
ラーメンの絵:院内食ではラーメンが出てこないため、親の差し入れがおいしかったということ。
スパイダーマン:放射線治療をするためにかぶらなければいけない網目状のマスク。
絵手紙の印象からはわからない入院生活の厳しさ等が分かります。
そこで、授業の導入は絵手紙を見せて、生徒にその印象や感想を書かせて、周囲と共有させることがいいかなと思いました。
ここでも、もしかしたら生徒によって違いが出てくると思いますが、そこまで大きな違いではないでしょう。
ここでの本当のねらいはこの違いではありません。
この後、私が見た授業ではNHKの当時のドキュメンタリー番組を見せていました。
この最初の部分で絵手紙とみぽりんの状況がわかるため、絵手紙から受けた印象と実態の違いが出てくるはずです。
なぜ、みぽりんはこのような状況下で前向きな絵手紙を書けるのかという違いです。
これを意識させることが大切かなと思います。
そこで、互いに感じたことを共有したり、発表させたりして学級内に「なぜ?」という空気を持たせます。
展開
道徳で最も大切なのは揺さぶりです。
その揺さぶりをどこでかけるのかという話をします。
手術をした結果、病状はよくなり退院できることになりました。
もちろん通院はしますが、少しだけ登校したり、家族旅行に出かけることもできるようになったのです。
少しずつ明るい兆しが見えたのも束の間、腫瘍が新たに見つかり再手術することになりました。
このとき、みぽりんは母親にこう言います。
「お母さんが中学校に通わせるから腫瘍ができたんだ!」というような内容です。
そして、手術が行われ、入院することに。
その後も絵手紙は続きましたが、とても前向きな絵手紙しかありません。
では、なぜみぽりんは母親に上記のような後ろ向きな発言をしたのでしょうか。
NHKの番組を流れた部分を見る限り、後ろ向きな発言をしたのはこの時だけです。
そのことを考えさせるだけで生徒たちは揺さぶられることでしょう。
そして、自分に置き換えて考えるはずです。
そうすれば議論が生まれてきます。
「死への不安が出てきたら」
「再手術が嫌になってあたってしまった」
「命が長くないと悟ったから」
「退院せずに治療に専念すればよかった」
「退院してから無理しなければよかった」
色々な観点から話はでてくるでしょう。
ここに時間を割いて、議論を深めていく必要があります。
議論の方法は各学級の実態に応じた形でしてください。
終末
再びみぽりんは前向きになっていくわけですから、このときのみぽりんの気持ちの変化に注目してまとめていけばよいでしょう。
全員ではないにしても、
「今を一生懸命生きよう」
「やれることを今全力でやりきりことが大切」
というような意見が出てくるのではないでしょうか。
このような意見が持てなくても、周りの意見を聞くことで気付く生徒もいるだろうし、響いていない生徒がいてもそれはそれで受け入れればよいです。
このような経験が少なすぎて響いていないだけかもしれないので、これがその一歩目となるからです。
最後に
このように、題材を決めたら、いつどのタイミングで発問や映像を見せるかがポイントです。
ただ、映像を見せるのではなく、必要な部分を切り取って手短に見せて、発問につなげる。
道徳では感動させることよりも、違いをはっきりさせ揺さぶりをかけることが重要だからです。
だからどうすれば揺さぶれるのか、生徒たちが互いの意見をぶつけて揺さぶりをかけられるのかを考えて授業を構成するとよいでしょう。
私も久しぶりに授業をみて楽しかったです。
先生方同士で一体感のある公開協議会もよかったです。
こんな雰囲気だから生徒たちも落ち着いていたのかなと思います。
それでは、長い記事となりましたが、皆さんの授業づくりに役立てばうれしいです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
皆さんにとって何か気づきがあれば嬉しいです。
それではまた次の記事で!