【詩】碧落

わたしは他でもないわたし自身の言葉であなたを殺したかったよ、なんてとてつもなく大袈裟に、そんな馬鹿みたいなことを願っていたのに、わたしは未だに古びた赤ペンを握りしめていて、印がいっぱいついた辞書を抱えていて、それでも結局誰も殺せない、誰もわたしを愛してくれない。わたしだけの言葉なんてどこにもないし、それらのすべては、もともと、あなたたちの言葉なんだって知っていたけれど、だからこそ、わたしは愛を伝えたかったんだ、愛の言葉以外の方法で。愛を語ることでしか愛を伝えられないなんて嘘だから、みんなみんな何でもかんでも愛に結びつけるから、ぜんぶがぜんぶ愛で、わたしの瞳も、ちょっとした仕草も、殺意の言葉も、ぜんぶがぜんぶ愛なんだ、けれども、そんな風に考えるわたしはきっとどこまでも青空みたいで、わたしが愛するあなたとの距離も、丁度青空までの距離みたいだった。
引力を無視しなければならないから、碧落は永遠に碧落で、あなたはわたしを一生愛することなんてないんだ、そう思いながら描くラブレターもきっと、どうしようもなく青空みたいだった。

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