【詩】冬の悠遠

指先が悴んで、体の中心から冷え切って、心までもが凍り付いてしまったみたいだと、そう錯覚するあいだ、季節だけはわたしをひとりにしないのかもしれない。「澄み渡った綺麗な夜空だね」と呟いて、本当は澄み渡ってなんかいないのかもしれないけれど、広い広い空が薄暗い雲にぜんぶ覆われているのかもしれないけれど、その冬の夜空が、ただそこにあるだけでわたしは、よかった、何も見えていなくても、何も見ようとしなくても、遠くをただ映し出すだけで、冬が見えるんだよ。生きていたくなんかない、何も考えたくなんかない、自分なんか捨ててしまいたい、ただただ元からいなかったみたいに消えてしまいたい、そう思いながら泣いていても、冬の夜空の下はこんなにも凍てついていて、優しい。震えながら、体温を作る、冷え切ってしまっても血液はずっとからだを廻っている、同じように季節が、あなたにも優しく寄り添うものなら、きっと、わたしたち、同じ空の下でいつか出会えるかもしれないね。


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