【詩】藍天井
雨が降っているから星は見えなくて、
だから空がいつもより深く遠くにあるように感じて、
手を伸ばしてもなにも掴めない、
星がひとつもないから、どこにも届かないような気がしている、
けれど、そのぶんだけ、信号機の明かりや街灯の明かりが、普段より彩度を増しているような気もしている、
ビルの部屋から漏れる光が、いつもより多い気もしている、
そして、こうやって多くの物事の採算はとられてるんだろうなって思って、
でも、なんだかそれは、むりやり繋ぎ合わされたおはなしみたいだった、
ぼくも、街も。
昨日まで好きだったものを、今日嫌いになって、
今日まで嫌いだったものを、明日好きになって、
綺麗だと思った景色も明日にはどうでもよくなって、
だから、みんなみんな、物語になんてなれない、
そしてそのあいだ、曇った空の先にだけれど、確かにある星たちだけが、きっと物語だった。