【89】23年半期 本棚回顧 コトバから「たち」へ
2023年も半年。今日は夏至。
好音本棚では今年、ハムハウス改め夢中飛行にて
「わたし+たち」
をコンセプトに毎月棚をつくってきました☆
今年10~12月に開催される、さいたま国際芸術祭2023のテーマ「わたしたち」に刺激されたものでした。ともかく12月を「ゴール」に突っ走っています。
とりわけ、この半年は
①「ことば」にまつわるテーマが続いた
②「わたし」を掘り下げたかな、
と思います。
「わたし」(=好音)がずっと興味をもってきた
「ことば」
にまつわるテーマが、次々と掘り返されてきました。
「本棚」として人前にさらす中で、
各テーマが発展して、「わたし」自身も気づかなかった、
独特の角度をもちました。
その極地が「カンシ」でした笑
では、各テーマと展開を簡単に振り返ってみます
まずは
1月「中国と わたし+たち」
12月に、クリスマスの「東方の博士」をテーマに、どんどん東へ向かいました。1月に春節があること。
特に興味深かったのは「中央」と「周縁」を風のように軽やかにこえる「華夷風」(サイノフォン)文学の登場です。
安寧を願った「春聯」という連句も作成
本から詩を抜き出した小冊子「好音詩選」も作成、毎月継続
これらはけっきょく、6月の「カンシ」にいたるまで底流にあったんだなと思います。
2月「文字 と わたし+たち」
こちらも漢字から展開して、万葉仮名、タイ文字、ギリシア文字、ハングル・・・などなど
文字ゲームなども実施しました
3月「文法/レトリック と わたし+たち」
は前半後半に分けて実施
前半
文法に比重をおいて、「わたし」の根底となる主語。そして述語問題、中動態などにも触れています。
気仙沼にいきましたが、そこでのことばが印象的。
後半
「レトリック」色を強めています。誤解がないといいですね笑
この時期、マルイ大宮で、ハムハウスとしての出店がちょうど、3.11の時期でしたので、「仙台」の出品です
そして4月からは、ひと月ひと棚に収まらない、3か月連続という枠組みに発展。
空前の「短歌」ブームに刺激され、
テーマ《短詩定型 と わたし+たち》を設定しました。
ブームにのりつつ、
万葉集の解体とアジア定型詩の再構築、
というらテーマがありました☆
重要人物は、中村真一郎さんと、高橋睦郎さん
中村さんは、さいたまゆかりのソネット詩人、立原道造を追悼。戦中から日本語ソネットを模索しつつ、和歌、俳句、漢詩への広い目
高橋さんも、現代詩、和歌、俳句、を実作しつつ、漢詩にもくわしく、中国の詩人とも交流しています。
4月「七五詩の覚醒/拡声」
なぜ俳句、短歌は七五詩か。じつはカンシも七五詩では?との思いで、
俳句、短歌、カンシ、さらには、へブル詩、ギリシア詩、ソネットを。
「五七五チャレンジ」というゲームを実施しました^^
5月第二弾「定型の再設定」
https://note.com/haoyin/n/ne4a0d5f59e32
いよいよ、「カンシ」に関心を向け、
和歌とカンシを連句する「和漢聯句」の伝統を未来志向でとらえました
「漢詩チャレンジ」を実施しました
そして、
6月「ミカンのカンシ 〜オワリとハジマリ」
とにかく、現在、未来における「カンシ」の可能性、ということで、思いつくこと限り^^
「好音」という言葉のルーツも「カンシ」にあることを発表☆
いろんな冊子も作成しました
「好音」のルーツについては、「詩楽起原」ということで、動画で紹介
https://note.com/haoyin/n/n39af8a91a915
「好音」の出典となる古典のカンシ3つ
さらにさいたま国際芸術祭2020をきっかけに、あるイベントに参加してつくった模倣的なカンシ
そのイメージが、「好音」本棚全体のコンセプトにつながっていたことをあらためて確認しました^^
カンシの「オワッタ論」「ハジマリ論」も、
(※まさかこのタイミングで、「ハムハウス」が「オワル」とは・・・いや 「夢中飛行」がハジマル!
引き続き、詩を引用する「好音詩選」も
さらにもう一つ「詩楽起原」として
「さいたまの漢文脈」
の冊子を作製。
現実でも、ユートピアでもディストピアでもなく、
あったかもしれないもう一つの現実
「ヘテロトピア」につながる探訪的な視点。
岩槻、与野、浦和、大宮
のもう一つの風景が見えてきます
これは次回のテーマにもかかわってきます^^
理想としては、
分散交流型の漢字文化圏ができること
それは、領域をこえて、現在だけではなく、過去とも交流できる可能性のある文化圏です。
「中国」棚でも紹介しましたが、「中央」と「周縁」を風のように軽やかにこえる「華夷風」(サイノフォン)文学の登場は興味深いです。
様々なアーカイブと通信、翻訳、機械翻訳の充実で、ハードルは下がっているかなとは思います。
「カンシ」棚では、そのストーリーで、『詩経』の解体も試みたのかもしれません。
その構成要素
「国風」
をより自律分散させていく…
「風を見た人はいない/でもそれはある…」
という「好音」のコンセプトともつながってきます。
国というレベルですらない、漢字文化が各地で再活性化すれば、
中央集権的ではない、文化交流が期待できます。
だから「さいたまの漢文脈」の地盤確保は重要です。
あったかもしれないもう一つの空間
ヘテロトピア
「近代」で周縁化されましたが、
あったかもしれないもう一つ可能性としての「漢文脈」は未来の概念です。
以上、そうじて、
「カンシ」にいたっては
「【私たち】のことば全体に密接にかかわるものとして、漢文脈」
ではあるものの、
まだまだ理念的です。
また「ことば」というのも、ともすると形骸化します。
文字面、言葉尻(レトリック)、定型という形式化への危険…
形式主義におちいらず、
「呻吟(うめき)を見る…」(好音コンセプト)
ができるかどうか・・・
なので、まだまだ、本棚では
「わたし」
を掘り下げたにとどまるかな、と思います。
ハムハウス改め夢中飛行を通じて、
「わたし+」
くらいには、アウトプットできたか、とも思いつつ、
そこからどう、
「たち」
になるか
「ゴール」としての
「さいたま国際芸術祭2023」
にむかう
「まち」「人と人」「アート」・・・
といった視点が次から出て来てくるでしょうが、
「わたし」
が
「わたし+たち」
になっていくことを
さらに考えていきたいですね
では、あと半年、シェア本棚は、8月移転もしますが、まず7月から
よろしくお願いします!
好音本棚の過去記事については、
こちらにまとめています
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