眠れなくて… ②
朝はそれほどゆっくり出来なかったが、夕方寝たのが幸いしたのか、犬の添い寝を母に任せて入浴したが、浴槽で眠りこけずに済んだ。
溜まっていた録画を三日分見ながら、サボり気味だったストレッチを念入りにし、腹筋・背筋・腕立て伏せなど、筋トレを追加する。体が解れ、心なしか軽くなった気になる。軸が安定したのだろう。心身ともにすっきりしていた。
いよいよ布団に入るが、パソコンが思うように使えないストレスで、スマホゲームに二時間費やしてしまった。折角、早々と布団に入ったのに、何の意味もない。二時半を過ぎて、よくやく眠りの精が訪れ、充電したばかりなのに、既に半分消費してしまった電源を切った。
エアコンは効いているし、扇風機で空気を巡回させているというのに、何だか寝苦しい夜だった。犬も度々場所を移動する。時々、息を荒げるので、喉が渇いているのかと水や氷を与えるが、あまり変化はなかった。
結局、寝たのか寝ていないのかわからない。何度目かの犬の移動で体を起こすと、時計は四時を過ぎていた。寝ようとしてから二時間ほどしか経っていないが、更に二時間後にはもう起きなければならない。しかし一時間後には母が起き出すから、結局犬に起こされるだろう。何度も寝返るを打つも、寝た気は全くしなかった。
案の定、一時間ほどして「開けろ、開けろ」が始まった。出してもトイレに用はないらしい。扉の外は、早朝だというのに物凄い湿気と熱波だった。体が冷えているのか、犬は階段の上の定位置に寝そべり、下の物音に耳を澄ませている。今は大人しいが、ごっつい毛皮を着ているのだから、「暑い」と言い出すのは時間の問題だろう。再びエアコンの効いている寝室に押し込む。しかし例の如く開けて出て…の繰り返しとなった。
いつもより早く、犬は散歩に連れていかれた。と思う。その後、目覚ましが鳴るまでの数十分、私は確かに眠ったが、はっきり記憶に残る夢を見た。
トゥイーティーみたいなひよこが居た。横で母だか私だか区別がつかない人間が、味付け海苔を刻んでいる。調理鋏で…。その一かけが落ちた拍子に、ひよこのまつげの上に乗った。つけ睫毛したみたいなひよこを見て、私はげらげら笑った。現実に。夢を見ながら声を出して笑ったのは、とても久しぶり。夢の中で笑いながら、その夢を見て笑っている現実の私。寝ながら笑っている自分を、頭の片隅で客観的に見ている私が居る。
「あ、夢見ながら声出して笑ってる…私」
何だかとっても変な朝。いつも夢を見たときに開く、夢占いの本で調べる。“ひよこ”というキーワードはなかったけれど、“雛”という項目があった。
【思いもかけない幸運が舞い込む】
何!めっちゃ良いやん!
当たった試しはないけれど、良いことが書いてあったら嬉しい。それだけで得した気分!
結局、まともに眠れた気配はないけれど、笑いながら起きたし、占いも思いもかけず良かったし、まぁ、今日は良い日だと思うことにしよう。