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『鋼の錬金術師』のエンヴィーから見る嫉妬の姿
鋼の錬金術師のエンヴィーの描き方を見ると、作者が嫉妬をどのように描こうとしていたのかが見えてきます。
普段のエンヴィーは、他者に変身できる能力を持ち、人間の姿で周囲に溶け込んでいます。この「変身」という能力は、嫉妬心を外に出さず、他人と同じように見せかける力を象徴していると言えます。
嫉妬心を抱えながらも、表面上は普通に振る舞い笑顔を見せているが、しかし、悪事を行う際には他人に姿を変えてから悪事を行い「この人がやりましたー」と罪をなすりつけることで、嫉妬心から生じた負の感情や行動を他人に押し付け、自分自身の嫉妬心を直接他人に見られないようにしているメタファーとして解釈できます。
エンヴィーの本性が暴かれると、その姿は非常に醜く、見る者に不快感を与えます。これは、嫉妬が表面化したときの醜さや不快感を視覚的に表現していると考えられます。
そして、最終的にはその正体が小さな虫けらのような存在でしかないことが明らかになります。これは、嫉妬がどれほど強力に見えても、実際には無価値で、取るに足らないものであるというメッセージが込められているように感じます。