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【読書】本がもっと好きになる本〜店長がバカすぎて

早見和真氏の『店長がバカすぎて』のネタバレなし感想です。

彼の作品では、これまで『イノセントデイズ』を読んだのみでした。死刑になった女性の過去を深掘りするストーリーであり、誰も報われない、とても悲しいストーリーが記憶に残っています。

そのストーリーのイメージがあったため、本書の帯の『誰もが明るくなれる本』という言葉に違和感を抱きながらも、ずっと書店に平積みされていたので気になって購入しました。

読んで正解、とても面白く、前向きな気持ちになれました。

本作は、吉祥寺の本屋で契約社員として働く谷原京子28歳が主人公だ。憧れの先輩と働けることだけを心の支えに、「非」敏腕店長の元、文芸担当として次から次に起こるトラブルに立ち向かうストーリーです。

様々な"バカ"が登場します

店長がバカすぎて
小説家がバカすぎて
営業がバカすぎて
神様がバカすぎて
◯◯がバカすぎて
……
と様々な"バカ"がオムニバス形式で出てきますが、ストーリーは繋がっており、主人公やその周りの登場人物の変化もあり、非常に感情移入しやすい作品でした。

出版業界の仕組みを知ることができる

これが本作の最大の魅力です。
主人公が、出版社や勤務する書店、社会へ不満を持つ理由こそが、出版業界の仕組みからくるものであり、ストーリーを追いながら書店の仕入れの仕組み・出版社との力関係等を知ることができます。

いくら仕入れようとしても小型書店へ出荷されるのは数冊のみであり、大型書店で見られるインパクトの強い"本のタワー積み"はそんな書店の力関係の象徴であることを初めて知りました。

安いからといつもメルカリで小説を買ってしまう私も、たまには書店で新品の本を買って出版業界に貢献しなきゃと思いました。

登場人物みんな推せる!

そして、"嫌な人"が出てきません。皆素敵なキャラクターであり、どこか愛らしく応援したくなります。転職した先輩・就職した元アルバイト・サイン会に来た小説家、など、その後のストーリーにも密接に関わるところが本作をより面白くしています。

是非、読んでみてください✨

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