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僕は、紙人形だった。 小学二年生の誠くんが、スーパーのチラシで僕を作った。だから、僕…
わたしは、鳥です。 大きな梅の木、そのてっぺんが、わたしのお気に入りの場所です。 お…
「ねぇ、お母さん。お父さんのスマホのパスコードなんて、分からないよね」 四十九日だった…
「春と風、良い季節になりましたな。特に今日の風はいい感じだ。風向きも良い」 「木村さん、…
辰さんの骨を盗んだ。 辰さんの奥さんが、辰さんの足の骨を骨壷に入れている隙に。 他の…
覚えてるか? あそこにあった中華屋。老夫婦がやってた子汚ねぇ店。 美味かったよなぁ…
私の好きなもの。それはアイスクリームです。 アイスクリームをなめるときは、目を閉じます。舌から脳へ、舌から手や足の先まで、冷たさや甘さの伝達経路を全身で感じながら味わうのです。 私、舌先が敏感なのです。ふふふ。だから、なめるって行為そのものも好きです。 本当はね、冷たい食べ物は苦手。子供の頃から、ジュースや西瓜などを口にしたあと、決まってお腹が痛くなりましたから。腹部の奥を刺すような痛みで、息が出来ないくらい苦しくなるのですよ。 でも、アイスクリームだけは別なのです
「クリスマスの夜、愛子にプロポーズをしようと思っている」 公園の木々が色づき始めた秋の…
十二月二十五日、僕は、言葉を拾った。 クリスマスのその日は、午後から雪が降り始めた…
詩と暮らす、ってサイト知ってる? ちょうど一年前の朝、鏡に向かってネクタイを締めて…
誕生日にプロポーズする。 僕は、遠距離恋愛中の彼女の誕生日に、結婚を申し込むと決めて…
「今日は、この籠の中に鷺を入れました」 テーブルの上に置かれた美しい鳥籠。その籠を見つ…
吸血鬼。日本在住。好きな人の血が好き。 noteにプロフィール欄があることに最近気づいた…
珈琲と呪文。このふたつの組み合わせで、気持ちがふっと軽くなった人の話を、今日はしたいと思います。志保さんという女性の話です。 志保さんの家から車で五分の場所、線路沿いの田んぼの中にぽつんと『珈琲豆専門店タカハシ』はあります。二年前に都会からやって来た男が、古い民家をリフォームして開いたお店です。 「こんにちは」 ガラスの入った古めかしい引き戸を開けると、 「あ、志保さん、いらっしゃい」 商品陳列棚の横で文庫本を読んでいた高橋さんが、顔を上げて言いました。 志保さん