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1〜5分の物語

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1〜5分で読めるオリジナル短編小説を収録。 文体や読後感は、それぞれ違います。 1分で600文字くらい読めるかな、と適当に計算した時間です。
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記事一覧

ワンダフル ワールド

 僕は、紙人形だった。  小学二年生の誠くんが、スーパーのチラシで僕を作った。だから、僕…

目の穴

 わたしは、鳥です。  大きな梅の木、そのてっぺんが、わたしのお気に入りの場所です。  お…

かがみよ あなたよ かがみさん

「ねぇ、お母さん。お父さんのスマホのパスコードなんて、分からないよね」  四十九日だった…

飛行日和

「春と風、良い季節になりましたな。特に今日の風はいい感じだ。風向きも良い」 「木村さん、…

ほねかみ

 辰さんの骨を盗んだ。  辰さんの奥さんが、辰さんの足の骨を骨壷に入れている隙に。  他の…

このギリな世界で(涙)

 覚えてるか? あそこにあった中華屋。老夫婦がやってた子汚ねぇ店。   美味かったよなぁ…

なめる。

 私の好きなもの。それはアイスクリームです。  アイスクリームをなめるときは、目を閉じます。舌から脳へ、舌から手や足の先まで、冷たさや甘さの伝達経路を全身で感じながら味わうのです。  私、舌先が敏感なのです。ふふふ。だから、なめるって行為そのものも好きです。  本当はね、冷たい食べ物は苦手。子供の頃から、ジュースや西瓜などを口にしたあと、決まってお腹が痛くなりましたから。腹部の奥を刺すような痛みで、息が出来ないくらい苦しくなるのですよ。  でも、アイスクリームだけは別なのです

きみのよろこばせ方

「クリスマスの夜、愛子にプロポーズをしようと思っている」  公園の木々が色づき始めた秋の…

クリスマスの落とし物 

 十二月二十五日、僕は、言葉を拾った。    クリスマスのその日は、午後から雪が降り始めた…

ラストオーダー 

 詩と暮らす、ってサイト知ってる?    ちょうど一年前の朝、鏡に向かってネクタイを締めて…

ハッピー・プロポーズ 

 誕生日にプロポーズする。  僕は、遠距離恋愛中の彼女の誕生日に、結婚を申し込むと決めて…

美しい鳥籠 

「今日は、この籠の中に鷺を入れました」  テーブルの上に置かれた美しい鳥籠。その籠を見つ…

僕のプロフィール

 吸血鬼。日本在住。好きな人の血が好き。  noteにプロフィール欄があることに最近気づいた…

珈琲と呪文 

 珈琲と呪文。このふたつの組み合わせで、気持ちがふっと軽くなった人の話を、今日はしたいと思います。志保さんという女性の話です。  志保さんの家から車で五分の場所、線路沿いの田んぼの中にぽつんと『珈琲豆専門店タカハシ』はあります。二年前に都会からやって来た男が、古い民家をリフォームして開いたお店です。 「こんにちは」  ガラスの入った古めかしい引き戸を開けると、 「あ、志保さん、いらっしゃい」  商品陳列棚の横で文庫本を読んでいた高橋さんが、顔を上げて言いました。  志保さん