大村和弘医師のドキュメンタリー映画「Dr.Bala」の上映会に参加して
*映画のネタバレありな記述を含みます*
先日、ものすごい映画を観た。
「Dr.Bala」という映画だ。
この映画を知ったきっかけは、ライター友達の安藤 梢さんが書いた記事だった。
この記事をきっかけに、佐藤友美さんの元に集まるライターや、メディア関係の方が集まる本作の上映会が実現し、縁あってそこに参加できた。
ラオス、カンボジア、ミャンマーなどの東南アジアに趣き、国際医療活動をしている大村和弘医師のドキュメンタリー映画だ。
密着期間、12年。
友人でもあるコービー・シマダさんが彼を追い、本作の監督も務める。
実際の医療現場に迫った映像は、凄まじかった。
幼い頃に火傷をして、顔と体の皮膚がくっついたまま離れなくなってしまった女の子。そのまま3歳〜18歳という月日を、あまり外出できない中で過ごす。
長く苦しい、想像を絶する生活。
自分だったらどうなってしまうだろう。
あまりに、辛い。あまりに。
大村さんは彼女のことも治療し、治療前はままならなかった会話もできるようになっている。本作では彼女と会話するシーンもあった。
慣れない地で、十分な援助や設備も無い中、しかも不衛生な環境で、どれだけ大変な状況を大村さんは乗り越えて来たのだろう。
それなのに大村さんは淡々としていて、終始明るい。なんて人だ。
大村さんから医療を学んだ東南アジアの医師たちが徐々に増えていて、現地でしっかりとした施術を提供し始めている。
大村さんは自分が滞在している間だけの医療提供ではなく、あくまで現地の医師たちに技術を伝え、彼らに自立してもらうことにこだわり、活動されてきた。
その芽が確かに育ち始めている。
壮絶さの実際を見た衝撃と、大村さんという方のエネルギー、どちらにも圧倒され、観た後は深夜まで頭がぼーっとし、放心状態だった。
少しネガティブな言い方をすると、罪の意識さえ感じた。
自分はこんなくだらない生き物なのに、こんな恵まれた環境で生きていて、いいのかー。自分の日々は、誰かの役に立っているのだろうか。
どんな仕事を、するか。
自分がシゴトを提供したその先には、どんな価値が、誰に提供されていて、社会にはどんな影響を及ぼし、何を産み出しているのだろう。
そういういことを、もっとちゃんと考えて、仕事し、生きていかなければいけないなと思った。
上映会には大村さん、コービーさん、更にプロヂューサーの馬詰正さんも来てくださり、観客の色んな質問に嫌な顔ひとつせず、快く答えてくださった。
目の前にものすごい方々が立っていらっしゃるのに、なんだか実感が沸かなかった。
すごく近くにいるのに、なんかすごく遠くにいるような、そんな感じがした。
今の自分との対比を感じてしまったのかもしれない。
しかし、なんというか皆さん、普通なのだ。
まったく奢っていない。むしろ謙虚な方たちだった。
それがまた、お三方を大きく感じさせた。
もし神様が人間の姿をして人間界で過ごしていたら、こんな感じなのかなと思った。
東南アジアでもちゃんとした医療をと、活動されている大村さん。
その活動を沢山の方に伝えようと、密着しているコービーさん。
その映画製作を支える、馬詰さん。
皆さんの活動を、この映画を、沢山の方に知ってほしいと思った。
この映画と大村さんを教えてくれた安藤 梢さん、彼女の記事が掲載される場を作り、上映会を実現してくださった佐藤友美さんに、ありがとうと伝えたいです。
追記:
現在(23年5月8日)こちらの映画「Dr. Bala」は、東京のポレポレ東中野という映画館で上映しております。
当初の予定から上映期間を延長し、23/6/2(金)までの上映が決定されました。
ぜひ劇場で観覧いただきたいです。すごい体験になり、ひょっとしたら人生観が変わってしまうかもしれません。