【おすすめ本】なんで死体がスタジオに!?
新旧問わず毎月平均して
20冊ほどの本を読んでいるのですが、
時々「あっ」と驚くような本に
出会うことがあります。
今回の記事は、先日偶然出会った、
そんな本のお話です。
今回の「あっ」と驚いた本、それは『なんで死体がスタジオに!?』
ライトノベルにありそうな装丁とタイトルだな、
というのが正直な第一印象でした。
重厚な東野圭吾作品の合間にでも、
息抜きのつもりで読んでみよう。
作者の森バジル先生には
大変失礼かもしれませんが、
そのくらいの心持ちで本を開きました。
いざ読み始めてみると、
息抜きなんて思っていたのが
恥ずかしくなるくらい、
あっという間にスルスル~っと
作品の中に引き込まれていきました。
森バジル先生の文章はとにかく軽快で、
まさにスケートリンクを滑るような感覚で
読んでいくことができました。
この感覚は・・・そうだこれは、
「成瀬シリーズ」を読んだ時に似ている、
と思いました。
うん、これはうまい!!
※「成瀬シリーズ」宮島未奈著の二作
『成瀬は天下を取りにいく』
『成瀬は信じた道をいく』
作品の注目ポイント
①テレビ番組制作の裏側が覗ける
森バジル先生の経歴は存じ上げないのですが、
作家になる前はテレビ局にいたのでは?
と思えるほど、この作品を読んでいると
全編で番組制作の裏側が覗けます。
プロデューサー(P)やディレクター(D)、
アシスタントディレクター(AD)、
タイムキーパーの役割、キャスティングの決め方、番組の制作方法・・・。
局の皆さんは、本当に大変な思いをしながら、
番組を画面の向こうに届けているのだな、
と思えました。
いつだって僕らは華やかな一面しか
見えていないものです。
②人間の心の声がふんだんに聞こえる
本来は聞こえてはいけないはずの
心の声が随所で聞こえます。
ニコニコとした表情とは裏腹に、
相手に覚(さと)られないように
毒づいている「あれ」です。
心の中がみるみる真っ黒になって、
漆黒の闇に身を委ねる「あれ」です。
心当たりのある方は多いのではないですか?
でもね、それはきっとみんな同じなので、
別に気に病むことはありません(笑)
決してあなただけ特殊なのではありませんよ。
話が少し脱線したように思えますが、
とにかく本の半分くらいは
それ(心の声描写)に費やされているのでは、
と錯覚するほどでした。
特に番組出演者の京極バンビという
タレントの心の声は、ドロドロのギトギトで、
ある意味で鳥肌ものです。
可愛い顔して、心の中ではこんなことを
考えていたんだな。
そう思うと、人間不信になりそうです。
③主人公の幸良Pが可愛い
装丁に一番大きく描かれているのが幸良Pです。
プロデューサーというと、この本によれば
結構服装に気を遣われる方が多いようですが、
幸良Pが来ているのはユニクロの無地パーカーです。
靴は動きやすさを重視して
ニューバランスのスニーカーらしいです。
そういえば僕も、ランニングシューズは
ニューバランスを履いていました。
化粧っ気もあまりなさそうです。
相当なドジっ子で、上司にいつも怒られています。
ドジっ子エピソード、作中でもふんだんに
紹介されていまして、それがかなり笑えます。
でもそんな彼女ですが、
下の立場にいる人には優しくて、
夜中まで企画書の添削をしたり
相談に乗ってくれたりします。
たとえフィクションの世界とはいえ、
登場人物、特に作品の核となる主人公の
キャラ設定は重要です。
このようなキャラ設定にしたことで、
読者は親近感を覚えて、より作品の世界に
没入できたのではないでしょうか。
こんな人におすすめ
多くの人に読んでもらいたいですが、
その中でも特にこんな人に
おすすめしたい作品です。
エンタメ性の強い文芸作品が好きな人
短時間でサクサク読み進めたい人
テレビのバラエティー番組が好きな人
人間のイヤ~な部分を見るのが好きな人
当てはまった方は、
今すぐに街の本屋さんに駆け込んでください。
品薄になって入手困難になる前に・・・。
~編集後記~
今回この作品に出会ったことで、自分はまだまだ知らない作家、作品が多いのだなと思いました。
著者の森バジル作品はもちろん、
これからもずっと読み続けたくなる作家、
そして自分の心を豊かにしてくれる本を
探し続けたいと思います。
やっぱり自室にいながらにして、
色んな世界を旅することができる小説は
最高の娯楽だな~。
今回もお付き合いくださり、
ありがとうございました。
少しでもいいな、と思ってくださったら、
お手数ですが「スキ」ボタンを
押してもらえると嬉しいです。
今後の制作の励みになります。
ではまた、次回の記事でお会いしましょう。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?