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私は30000分の1の人


私は30000分の1の人。

私は昔から運が良い。

くじなどを引けば特賞を当てることもあり、周りの人にも恵まれて私の人生は運だけでここまで来れたと言っても過言ではない。


私は30000人に一人だけしか経験しないであろう経験がある。


正直それは私の人生には不要なものであった。


それは3年前の事である。





グラム陰性 通性嫌気性桿菌の腸内細菌科の一属に属する細菌 サルモネラ菌に当たったのである。


とても苦しくもがき、吐き気を起こし病院に駆け込んだ。


病院の先生は

「あーサルモネラ菌だね。生卵か何か食べた?」

私 「卵ご飯食べました」💦


「それだね」


サルモネラ菌は卵の殻に付着して割った時に卵に付着するのである。


調べると卵は通常、洗浄してあり菌が付着する事は稀である。


それでもいくつかには混ざっている事があり


その確率が10万分の3


おおよそ30000分の1である。


私は30000分の1の人である。


私は良い事も凄い確率で引き寄せるが同時に悪い事も引き寄せる。


もしも宝くじを買ったとすると一等が当たるかも知れない。それと同時に1分後に心臓麻痺で死ぬ事も考えられる。


良い事と悪い事は同じ割合で起こるのかも知れない。


とは言え卵に罪はない。


卵は人間にサルモネラ菌を食べさせてやろうとも思っていない。


そんな卵の為に卵になりきって文章を綴ってみた。


これはオマージュである。

異論は認めない


卵ご飯

 吾輩は卵である。名前はまだ無い。

 どこで生れたかとんと見当がつかぬ。

何でも薄暗いじめじめした養鶏場で親がクックルドウと泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間というものを見た。

しかもあとで聞くとそれは生産者という人間中で一番獰悪どうあくな種族であったそうだ。この生産者というのは時々我々を捕つかまえて煮にて食うという話である。

ふと気が付いて見ると生産者はいない。
肝心かんじんの母親さえ姿を隠してしまった。

その上今いままでの所とは違って無暗に明るい。
吾輩は藁わらの上から急にスーパーの中へ棄てられたのである。
それからある人間に連れられてスーパーを出る事になった。
それから暗く寒い場所にしばらくの間閉じ込められいたがそろそろ出発の時が来たようだった。

吾輩は投げ出されては殻破られ、箸でグルグルと上下に同じ事を四五遍繰り返したのを記憶している。吾輩は稲の果実である籾から外皮を取り去った粒状の穀物と一緒にまたも同じ事を四五遍繰り返したのち吾輩を口へ抛りこんだ。
かくして吾輩はくしくもこの生涯を終える事となったのである。




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