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梅流しで腸内の大掃除をする。

 梅流しというものをご存知だろうか。
 
 さだまさしの名曲、「精霊流し」の親戚のような名前であるが、まったくの赤の他人。梅流しとは、梅干しと大根、昆布を使った胃腸の働きを促す食事療法だ。

 梅流しをやると、数時間を待たずして、ほとばしるほどのお通じが発生し、これでもかと、腸に溜まっていたものが流れていく。
 よく高圧洗浄機のコマーシャルで、一気に汚れた外壁なんかを洗い流す映像があるが、あれが腸内で起こるのだ。

 お通じにお悩みの方。
 体が重く感じる方。
 食べ過ぎたなぁと後悔している方。

 そんなお悩みを、大根と梅の汁でもって流し、大掃除してくれるのが「梅流し」なのである。

 私はこの梅流しをすること数回。
 体も軽くなり、気持ちもすっきりすることから、半年に一度ほど、大根が安いときにおこなっている。

 「梅流し」で検索すれば、画像付きや動画で作り方が山と出てくるが、一応、ここでも簡単に、私なりの《大根入り梅湯》の作り方をお伝えします。

 まず、1.5リットルの水を鍋に用意し、昆布15gを適量入れて水につけておく。
 大根1/2本分を千切りし、昔ながらの塩辛い酸っぱい梅干しを3つほど叩いて、鍋に投入し、煮る。(このとき、梅干しの種からも旨味が出るので、入れてほしい)。
 汁が沸いたら、昆布を取り出し、あとは5分ほど煮て大根が柔らかくなれば完成。

 最初に煮汁をお椀に2杯ほど飲んだあとは、狂ったように1.5リットル分の汁を食べていく。
 このとき、多いな、とか、食べきれるかな、などと考えてはいけない。
 フードファイターにでもなった気持ちで、ただひたすら、大根と汁を食い込んでいく。

 完食しても賞金は出ないが、食べきったあかつきには、ほとばしるお通じにより、体がすっきりする。そのすっきりを目指して、黙々と食べていくのだ。

見るからに体に優しそうなお椀である。

 大根の穏やかな甘さと梅干しの酸味、まろやかな昆布の旨味や香り。
 ラーメンスープのようなわかりやすい味ではないが、これを美味しいと言えるようになれば、意識の高い大人になれるに違いない。
 そんなことを言って憚らないほど、体に優しい味がする。

 これが一杯だけなら、その滋味深さを尊く感じ、食べ終えた後に、思わず手を合わせたくなるはずだ。だが何度でも言おう。

 食べる量は1.5リットル。


 そこに1/2本分の大根が加わるのだから、更に容量は増える。一人で家族四人前の鍋物を食べる光景をご想像いただければ、わかりやすいかもしれない。

 ビールならば、あっという間に1.5リットルを飲むことはできるが、水となるとつらい。白湯となると、温かいのでもっとつらい。
 しかも冷めると、どこかさみしい味になるので、細火で煮ながら食べるほうがいい。私は台所に椅子を持ち出し、ガステーブルと向かい合い、煮上がったものを次々とお玉で掬っては、お椀に入れるを繰り返すことにしている。

 眉間にしわを寄せ、煮ては返す梅湯をがつがつ、よく噛んで食べていく。その姿はまるで、魔女が釜の前でえげつない効能の妙薬を作るが如く面妖めんようである。

 反応の早い人だと、食べている最中に《もよおす》らしい。まだ食べているのだから、本来ならば我慢すべきところであるが、抗うことなかれ。

 これは食事ではない。大掃除だ。

 臆することなく、お手洗いへ向かってほしい。

 私の場合ではあるが、食べ終わった頃にはすでに胃の反応が始まっている。
 キュルキュル、ゴニョゴニョ、ギュルギュル……
 その音はけたたましい。腸内会議が血気盛んに繰り広げられているのを、身をもって感じる。

 大波小波で反応が来るので、その都度対応する。お腹が痛いというよりは、1.5リットル分の梅湯の勢いが、体を通過していく感覚だ。このトイレの往復を
「キタキタキター!」
 と喜べるタイプならば、梅流しを楽しめるタイプだと思う。ただ、トイレの往復はそれなりに体力を消耗する。ここまでの過程を見てもなお、《梅流しをやってみたい》と思う方に更にお伝えしたいのは、 

 必ず空腹時におこなってください。


 ということだ。
 満腹だと1.5リットルの具入りの汁を飲むのも大変だし、効果が出ない場合がある。
 キュルキュル、ゴニョゴニョ、ギュルギュル……これらの腸内会議が全く行われず、ただ1.5リットルの大根と梅干し入りの汁を飲んだだけで終わる可能性があるのだ。

 秋田柴子さんは、当記事を読んで早速、梅流しを試してくださった。
 しかし残念なことに、腸内会議が行われぬまま、時が過ぎてしまったそうだ。私も一度だけ、会議室を空けておいたのに、腸内会議がおこなわれなかった経験がある。

 しかも、全員が全員、梅湯流しで快腸になるとは限らない。


 何しろ《1.5リットルの梅湯を飲む》という、いわば荒行なので、実行後、逆に胃が荒れてしまうことも考えられる。流し出す勢いのない梅流しなど、もはや梅流しではないが、一気に流すことのリスクもあるのだ。

 梅流し  。品の良い名前の割に、なかなか手強い難物でもある。

 もし、朝に梅湯を飲むつもりなら、前日の夕飯は軽く済ませたほうが、梅湯による効果を得られやすい。朝昼抜いて夜やる人もいるようだ。だが、ここで更なる注意点がある。

 梅流しは、一日在宅しているときにおこないましょう。


 食後、1時間半ほどはトイレを行ったり来たりを覚悟しなければならない。散歩や買い物に出た後に、腸内会議が紛糾し始めたら、もう目も当てられない。

 その後、食事をするならば、できればお雑炊やおかゆ、うどんなどの胃に優しい食べ物をおすすめしたい。私は玄米に黒ゴマと塩を掛けたものを、これでもかとよく噛んで食べることにしている。腸の善玉菌を増やすために、ヨーグルトを食べる人もいるらしいので、それはお好みで。

 師走から新年にかけて、クリスマスやら正月やらと、ご馳走が待っている。梅湯で腸を流し洗いして、すっきりした胃腸で年末を迎えれば、食事への罪悪感が薄まり、更にご馳走を愉しむことができるかもしれない。

 だが、あくまでも1.5リットルの梅味大根スープを食べきることのできる人で、トイレの往復をいとわわない人限定の腸内掃除法であることを、念押ししておきます。(理由は本当にわからないのですが、充分な準備をしても、効果が得られないこともあります)。
 あと、腸の調子が良好な方は、お腹に善玉菌が豊富にあるので、梅流しをする必要はないそうです。ご参考まで。
 皆様、どうぞ素敵な腸ライフを!


 梅流しについては、様々な意見があります。梅流しを推奨しているわけではなく、あくまで私の体験談だと思って、お読みいただけますと幸いです。

 このサイトでは、より詳しく「梅流し」の方法が掲載されています。
 ご興味のある方は、是非、ご一読ください。

 こちらの動画では、より正しい梅流しの方法が紹介されています。 

 この動画の大根はおでんの大根のように大きいです。いちょう切りもよく見かけますが、私は麺のようになって食べやすいのと、火が通りやすいこともあり、千切りにしています。

 健栄製薬の梅流しに関するコラム↓



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花丸恵
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