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なぜあの患者さんの腰痛は良くならない?最新の治療法!認知行動療法って何?その実践例と有効性は?

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こんにちは!HAMTライブラリ編集部です。
今回はスペシャルライター特別編。

前回、職種は違えど”フリーランス✖️ママセラピスト”としての生き方について記事を書いて下さった理学療法士のじんちゃんが今月も書いてくださる事になりました。

まだ見ていない方はぜひご覧ください。鍼灸師にとっても参考になることが多々あると思います!

じんちゃんのアカウントはこちら👇
鍼灸師・鍼灸学生さんはチェックしておきましょう!


こんにちは!
読者の皆様、じんちゃんこと陣内です!
私は29歳で、整形外科勤務が1番長く慢性疼痛の患者さんと関わることが多く、それが楽しいと感じる理学療法士です!

今回は、1-3年目の鍼灸師さんで、腰痛治療が難航していて悩んでいる方、認知行動療法って聞いたことはあるけどよく分からないし自分で調べるのは面倒だな〜という方向けに記事を書かせていただきます。

実は私自身も、興味はあるけどみっちり調べるのは面倒…と思っているところに、「人生を変える幸せの腰痛学校」という本に出会い一気に知りたくなった1人です!今回は調べ、学びを深めながら、一生懸命執筆させていただきます!

この記事を読むと、以下の3つのことを知ることができます。

①慢性疼痛が機能面のアプローチだけでは治らない理由
②認知行動療法の概要と治療メカニズム
③本のオススメ理由と自身の治療への活かし方

1️⃣なぜ慢性腰痛は機能面だけのアプローチでは治らない?

(1)急性痛と慢性痛で異なる痛みの役割

急性痛と慢性痛では、痛みの持続期間だけではない、様々な違いがあります。この違いを理解することでアプローチすべきポイントを明確にしていきましょう。

急性痛は、組織損傷に伴う痛みであり、身体の異常を知らせる警告信号の役割があります。
イメージとしては、転けた時の傷やケガ・ギックリ腰など原因が明確で受傷時から痛みが発生しています。ほとんどは、組織損傷の治癒とともに軽減・消失します。そのため、治療としては組織損傷をターゲットにした温熱療法や消炎鎮痛剤が効果的なのは明確ですね。

慢性痛は、組織損傷が消失・治療していると考えられるのに持続する痛みであり、痛みが心理・社会的役割をしている事があります。
イメージとしては、痛いと言えば家族が心配して優しくしてくれる等、本人にとって痛みがあることが何らかのメリットに繋がっていることがあります。そのため、痛い痛いと家族に伝え続ける、すぐに仕事を休んで心配をあおる、などの痛み行動をとります。
つまり、組織自体の損傷はなくなっていると考えるので、機能障害への治療だけでは痛みの改善、患者さんの満足度も得られないことが多くなってしまいます。

(2)慢性痛でアプローチすべきはココ!

人が行動を起こす要素を4つに分けて考えます。
出来事→①認知→②感情→③行動→④身体反応があります。これらの4つの要素は全て相互に影響しあっています。この中で自分の意志でコントロールしやすいのはどれだと思いますか?一般的にアプローチできるのは、①認知と③行動といわれています。ゆがんだ認知、凝り固まった認知に気づき、柔軟に前向きに捉えられるように思考のトレーニングをしていきます。
また、痛みそのものではなく、痛み行動を把握して、痛み行動を強化しない、減らすアプローチが必要です。
文面だけで見ると、いまいちイメージが湧きにくいと思うので具体例を出してみましょう。

2️⃣認知行動療法って何?

認知行動療法(Cognitive Behavior Therapy)は、その名前の通り認知と行動にはたらきかけていく治療法です。元々はアメリカでうつ病に対する精神療法として始まりました。現在では教育、ビジネス、慢性痛患者さんへの治療へとその有効性から幅広く活用されています。

(1)対象疾患や患者像は?

対象疾患は、腰痛のレッドフラッグサイン(生物学的危険因子)がないこと=危険な腰痛ではない方です。参考に以下にレッドフラッグをまとめておきます。

また、患者像としてはイエローフラッグ(心理社会的要因)に当てはまる方です。現在では、原因が特定できる腰痛は15%と言われており、残りの85%は心配のない非特異的腰痛です。
イエローフラッグの例を以下にまとめておきます。

ここまで調べていると、自分の経験を思い出しました。私は早起きが特段に苦手なのですが、遅刻をするとトイレ掃除を1ヶ月させられる職場がありました。その罰でさえ心苦しかったのですが、さらには掃除したという証拠に、陣内と掃除板に名前を書かなければならなかったのです。"反省しているのに、公開処刑だ…"と、だんだん仕事が嫌になり余計に遅刻を繰り返すようになりました。最終的には、仕事場に着くと腰痛を感じるようになりました。振り返ればストレスからくる腰痛だったのでしょう。人のココロとカラダは影響し合っていると改めて感じました。
ただ、大切なのは実際の認知行動療法の対象となる患者さんは、自身の腰痛の原因を認知のゆがみや何らかのストレスだと考えている人は、ほぼいません。だからこそ、治療院で腰を治して!とあなたの元にやってきて出会ったのですから。

(2)治療のメカニズムは?

人が行動を起こすまでの4要素のうち、認知と行動にアプローチしていきます。
具体的なアプローチとしては、「痛いから〜できない」「痛みをゼロにしないと何もできない」という全か無か思考・マイナス思考から、「痛くてもできる範囲で〜する」という痛みを受容・共存する思考、行動へのシフトを目指します。
認知のゆがみで多いのは、「腰痛=安静=運動は良くない!」と考えているパターンです。
実は最新の研究で面白い結果が出ています。

医療施設で'腰痛が治るまでできるだけ安静を保つように指導された'と回答した68名と'痛みの範囲内で活動してよいと助言された'と回答した32名を抽出、それぞれの翌年のぎっくり腰再発状況を検討した。その結果、安静群のほうが翌年に「ぎっくり腰」を3倍以上のリスクで再発しやすい傾向にあり加えて安静群の方が多数回再発を繰り返しやすく、かつ慢性化する傾向があった。

日本人勤労者を対象とした腰痛疫学研究
松平 浩ら

このようなエビデンスを患者さんに伝える事、そして痛みが出ない範囲の運動を提案・指導することで、このぐらいなら動かせるんだと少しずつ腰痛への認知、行動を変えていきます。

(3)実践されている伊藤先生ってどんな方?

今回私が、認知行動療法って面白い!もっと知りたい!と思うきっかけになったのは伊藤かよこ先生の「人生を変える幸せの腰痛学校」という本に出会ったからです。
ここで少し著者の伊藤先生についてご紹介させていただきます。実は伊藤先生自身が、会社員時代に腰椎椎間板ヘルニアによる腰下肢痛を発症され、3度の入院・手術をされています。
本の中でも主人公として出てこられるのですが、腰痛によって人生がボロボロになった…どん底の経験から、腰痛仲間と葛藤しながら自力で腰痛を乗り越えていく過程には引き込まれて涙ぐみながら読んでいる時もありました。
先生はそのご自身の経験から心身医療に興味を持ち、鍼灸師資格取得されました。現在は、慢性腰痛に悩む方々へのリアル&zoom腰痛学校の開催、腰痛学校オンラインコミュニティの運営、子育てサロンの運営などもされています。
認知行動療法のイメージがぐっと湧く内容になっていますので皆さんもぜひ手にとってみて下さい。

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