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「地域のみんなの顔が見える冊子っていいね!」 2024.6.27 持ち寄り勉強会@はまぐり堂 その①

2024年6月27日(木)のお昼過ぎ。
「久しぶりだね~」「元気だった~?」「今日はこんなの作ってきたよ」
はまぐり堂に、続々と地域の皆さんが集まって賑やかな笑い声が響きます。
それぞれが持ち寄ってくださった季節の手料理やお菓子などの手土産をずらりと食卓に並べたら、持ち寄り勉強会のはじまり、はじまり✳︎


「持ち寄り勉強会」が始まったわけ


 私たちはまぐり堂が、地域の方々と一緒に「持ち寄り勉強会」を開くようになったそもそものきっかけは、2021年5月の東北の民俗研究家・結城登美雄 ゆうきとみお先生との出会いと、そこから地域の方々と一緒に取り組み始めた、地域の宝ものを掘り起こして未来へつなごうという取り組みでした。 

 結城先生。東北の農山漁村を自らの足で歩いてその土地の人々と語り、
地域の生業と食文化の重要性を伝え続けていらっしゃる大先輩です。


 結城先生との出会いや地域の方々との取り組みについては、こちらの記事に詳しく書いています。

#3 足元の宝ものを見つける(前編)
#4 足元の宝ものを見つける(後編)
#5 希望をつなぐ (前編)
#6 希望をつなぐ(中編)
#7 希望をつなぐ(後編)

 思いがけない偶然やご縁が重なって始まったこの取り組みの一つの集大成として、2023年4月、地域の勉強会主催者のサステナブルデザイン工房さん・デザイナーの佐藤優花さんとともに一冊の冊子を完成させました。
 テーマは「足元の宝ものを未来へつなぐ」。石巻地域の季節ごとの食のエピソードやレシピ、子供の頃の暮らしや祭りの思い出、町の歴史についてなど、地域の方々のご協力のもと一年以上をかけて収集されたエピソードは多岐たきにわたり、地域の方々にも若い世代にも楽しんでいただけるような、読み応えのある冊子が出来上がりました。

 この冊子づくりの過程で、地域の方々と交流しながらエピソードをお聞きするため、はまぐり堂でも場を開いていくことになりました。
 結城先生のお話にもあったように、「食べることは、生きること」。
 やっぱり同じ飯の釜を食うのが大事!ということで、旬のものを使った手料理やお菓子など、なんでもいいのでそれぞれ一品持ち寄って、食卓を囲みながらお話しましょう、と始まったのがこの「持ち寄り勉強会」です。
 始めてみるとこれが本当に面白くて、みんなが最後に「ああ、楽しかった」と思わず言ってしまうような、豊かな時間が生まれました。
 ひと昔前までは当たり前に日常にあった、さまざまな世代が集って食卓を大勢で囲む時間は、今では滅多にない貴重なひととき。みんなで料理をいただきお茶を飲みながら、笑ったりしみじみ頷いたりする中で、冊子に載せたいエピソードもどんどん生まれていきました。

 都会の高級料理ではなく、地域の家庭料理こそが、旬を活かし、健やかに暮らしていくための知恵が詰まった、"生きるための食"。そしてみんなで食卓を囲むことから、生きていく力、人と人とのつながりも生まれていく。
 実際に「持ち寄り勉強会」を開く中で、私たちもこのことを強く実感するようになりました。


皆が手料理を持ち寄って語り合う中で冊子づくりが進んでいきます。
地元のお母さんたちもエンジン全開、終始笑いが絶えません。


 
 そんな「持ち寄り勉強会」と第一回目の冊子づくりを経て、地域に眠る暮らしの知恵とその価値を再認識した私たちは、2023年の冬から春にかけて、次号の冊子づくりをスタート。今回はテーマを絞り、豊な漁場のある石巻地域の「魚食文化」に特化することにしました。

 今回は一般社団法人フィッシャーマン・ジャパンでインターンをする学生さんたち若い世代の力も借りて、地元の浜々の漁師さんへのヒヤリングをしてもらい、季節ごとの漁のこと、獲れた魚介の食べ方、子ども時代の思い出など、海とともに生きる人々の知恵をたくさん集めることができました。

 地域のお母さんたちからは、魚料理のレシピや、かつての港町の子どもの暮らしのこと、魚介を売り歩く行商のエピソード、名物・笹かまぼこのアレンジレシピなど今回もたくさんのことを教えていただきました。また、取り組みの初期からお世話になっている環境人文学の千葉はじめ先生には、山と海の循環をめぐるエッセイを寄せていただきました。

 こうして今年2024年4月、ついに冊子「足元の宝ものを未来へつなぐ vol.2」が完成。テーマを絞ったことで、石巻の海と、その恵みを受けながら営まれてきた暮らしについて、より深く多角的に知ることのできる一冊となりました。

(その②へつづく)


《ここ掘れワッショイ!》
執筆:亀山理子 / イラスト:佐藤優花
「足元に眠る宝もの(みんなが当たり前に持っていた地域の暮らしの知恵や食文化、自然と共生する在り方など)を掘り起こし、その豊かさを改めて捉え直し、次世代へと繋いでいこう」
そんな思いのもと、地域の方々と共に毎月開催している「持ち寄り勉強会」の模様をお届けする連載マガジンです。

記事一覧:
【1】「地域のみんなの顔が見える冊子っていいね!」 2024.6.27 持ち寄り勉強会@はまぐり堂 その①
【2】「地域のみんなの顔が見える冊子っていいね!」 2024.6.27 持ち寄り勉強会@はまぐり堂 その②
【3】「豊かな海は、豊かな森から生まれる」2024.7.24 持ち寄り勉強会@はまぐり堂 その①
【4】「豊かな海は、豊かな森から生まれる」2024.7.24 持ち寄り勉強会@はまぐり堂 その②

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