【将棋】藤井三冠、例の▲4一銀を自ら解説されていた件。
本日10月4日、第71期王将戦挑戦者決定リーグ戦6回戦で▲藤井三冠ー▽広瀬八段の対局があった。戦形は相がかりで、結果は藤井三冠が居玉のまま完封に近い勝利を収めた。将棋の格言に「居玉は避けよ」というものがあるが、これはどんな戦形でも当てはまるわけではない。この相がかりは例外だ。
相がかりは左翼に相手の角飛が睨んでいて、いずれ右桂も加勢してきて戦場になるから移動しづらい。反対の右翼には自陣飛車がいて、玉飛が接近すると攻められた時にカモネギ状態になるので好ましくない。かといって一歩前に立つ▲5八玉/▽5二玉は両桂を中央に殺到されると困る。つまり、相がかりは玉を囲わないのではなくて、囲うリスクが大きい激戦必至の戦型だと個人的には解釈している。
常に自玉の安全度を考慮する(盤面を広く俯瞰する)必要があることと、基本的な攻め駒は飛角桂歩だけで細い攻めをつなぐ難しさも混在している。ノータイムでぽんぽん指すのではなくて、時間をかけてじっくり考えながら指す相がかりは、指し将棋上達に導いてくれるエッセンスが詰まっていると言ってもいい。
さて、藤井三冠が以前に放った神の一手▲4一銀に関する note をアップしたのだけれど、自ら解説されている動画がアップされていた。
神の一手「▲4一銀」はいかにして生まれたのか 藤井聡太三冠に聞いてみた 竜王戦開幕直前スペシャル企画②
チャンネル名:読売新聞オンライン動画
素人が note で予想していたことは抽象度が高いながら当たらずとも遠からずと言ったところか。あの場面は両者が相手玉の詰みの形を考える段階に突入していて、飛車を取って喜んでいたらその隙に松尾八段の包囲網が先にできてしまってマズイということらしい。なので、▲4一銀は「相手よりも早く詰みの形を作る」という考えを元にした逃走ルート封鎖のための犠打なのであった。
( 'ω' ; ).。oO( 理屈は理解できるが……しかし……
しかしながら、一見して不利感しかない▲4一銀を発見できたという時点でまず凄い。次に「この手で本当に大丈夫なのか?」という検証を約1時間も投入して行ったのが凄い。そして最後に、実際に指したのが凄い。個人的に意外だったのは、指される直前の局面になって▲4一銀が見えたと言及されていることだろうか。もっと前から見えていたものと勝手に思っていた。素人には一生かけても到達できない境地に、贅沢にも自ら解説を付けて下さったのは本当に感動的だった。
神はいる。また、そう思った。