【双裸玉】対掌性のある「峰王記念」 22.04.18.
双裸玉の探索を始めるきっかけとなった峰王尊師が将棋界の模範となる対局マナーを示した記念として、双裸玉「峰王記念」を紹介したい。
峰王記念
「峰王記念」と呼ぶに相応しく天王山(5五)に受方玉がおり、それを玉座の攻方玉で詰ませる配置だ。天王山に受方玉を配置した双裸玉は本作が初だと思うが、①対掌性の角打と②収束4手変同の微キズがある。
① 対掌性の角打
先に対掌性について簡単に説明したい。例えば、左手と右手を掌を下に向けた状態で重ねようとしても指の順番が左右逆になってしまって重なり合うことはない。このような鏡像関係にあることを化学では ”キラル” (chiral, 日本語で ”対掌性”)と呼ぶ。「峰王記念」ではこれに似た事態が発生したので、問題の5手目まで進めてみよう。
初手に放った4七桂があるため、角打で分岐した上2つの図面は対称性を失っている。こうなると、一方を反転させても、もう一方と重ね合わせることができない。通常なら余詰になるところなのだが、以降の手順は詰み上がりまで対称の同一形になっている。個人的には、このような ”図面非対称・手順完全対称” な状態が現れる作品は許容してもいいのではないかと思う。
この際、図面が非対称となる手があるにもかかわらず、手順が詰み上がりまで完全に対称を保っていることを「図面対掌」と呼ぶことにしよう。
一気に19手目まで進めた。片方の図面に4七桂が残っているため、依然として図面対掌となっている。全検してみたところ、4七桂が存在することによって別の詰め手順が発生したり、手数が伸びたりすることは一切なかった。このことから、5手目の▲4八角と▲6八角を同質のものとして捉え、余詰扱いしなかったのである。
②収束4手変同
収束4手は変同の微キズがある。
まとめ・詰将棋に対する素朴な疑問
図面が非対称となる手があるにもかかわらず、詰み手順が詰み上がりまで完全に対称を保っており、かつ対称性を失わせている駒が詰み手順に何ら影響を及ぼさないことを「図面対掌」と呼ぶことにした。この図面対掌は変同のようなキズが無ければ手順が一通りに定まるため、多少の減価はあっても作品として許容してもいいのではないかと思った。
今後の予定
天王山に受方玉を配置したキズの無い双裸玉の探索をしたい。
スペシャルサンクス
窪田義行(空気から整えていく 環境派)峰王尊師:拙エレベーター詰に対して ”詐術的印象を与える” と迚も心温まる難癖を拝賜し、双裸玉を探索する契機を頂戴致しました
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