
【10:天王山に最も近い裸玉】4六玉完全作裸玉「驚愕の断崖」22.10.25.
CAUTION!
純粋に指し将棋をベースにした好手・好手順等の創出を目指している詰将棋創作者はここでブラウザバックした方が良いです。質の低い手順に気分を害したり、SNS等で叩かずにはいられなくなる恐れがあります。
見る前に持駒予想をしてみてください
トップ絵では持駒を掲載していません。もしよかったらどんな持駒の組合せになるのかを予想して、結果とのギャップをお楽しみください。
一旦閉ざされた天王山裸玉への道

自分が知る限り、天王山(5五)周辺には完全作裸玉の報告例が全くありませんでした。直近だと、5九玉|角金4銀3桂2歩(はる筆線屋、NOTE、2019.10.04.)の子作で連続銀捨てで5七へと迫ったのが最も天王山に近づいた完全作裸玉でした。

5九玉|角金4銀3桂2歩(はる筆線屋、NOTE、2019.10.04.)の子作
ここから逆算で六段目に玉を置き、持駒に銀を加えようとすると余詰が発生してしまいます。また、銀の代わりに桂・香・歩をいくつか加えても不詰と余詰の嵐になり、天王山への道は閉ざされてしまったように思えました(虱潰しに探してはいないので、桂・香・歩の組合せを調整して完全作裸玉がヒットする可能性は残されています)。
【4六玉完全作裸玉】「驚愕の断崖」
4六玉完全作裸玉を発見できたのはふとした思いつきからです。これまでに報告された完全作裸玉の持駒を眺めると、角金桂の組合せが結構あることに気がつきました。「角金桂の相性が良いなら、飛銀桂も良いはず」と単純な発想で探索に取り掛かった結果、しばらくして見つかりました。不可侵領域と思われた盤の中央6マスの一角、4六をついに攻め落としました。

冒頭で持駒を予想してくださった方の多くは持駒に金を入れていたのではないでしょうか?完全作裸玉は40作近くあれども、持駒に金がない組合せは4、5例しかないレアものですからね。そんな持駒金無し裸玉が盤の中央に眠っていたこと、そして単一駒非限定があるとはいえ余詰がなかったことは個人的に”驚愕”の一言です。断崖の意味は最後に言及するとして、先に詰み手順の方をサクッと紹介します。

【初手~8手】
▲5八桂Ⓐ ▽5七玉 ▲4九桂 ▽6八玉
▲5七銀 ▽7七玉 ▲7八銀 ▽同 玉
Ⓐ:▲3八桂でも可(単一駒非限定;2手目以降詰み手順は同一)
初手▲5八桂の場合、2手目▽5七玉で左右対称形になります。3手目は▲6九桂と▲4九桂どちらから打ってもいいわけですが、便宜的に▲4九桂と右側から打ちます。そうすると、初手▲3八桂(単一駒非限定)の場合と比較して初手に打った桂の位置が違うだけで2手目以降の詰み手順が全く同じになります。

【9手~16手】
▲6八飛 ▽7七玉 ▲7九香 ▽7八歩
▲同 飛 ▽8七玉 ▲7七飛打 ▽8六玉
8図を見た自分はハッとしました。2017年に発見していた双裸玉と瓜二つだったからです。双裸玉は盤中央の裸玉探索のヒントになることを示唆しているのかもしれませんね。

16図、飛飛香の三段ロケットが面白い形ですが、ここからの8手が少し面白いです。

【17手~24手】
▲8八飛 ▽9五玉 ▲9六歩 ▽同 玉
▲9八飛 ▽8五玉 ▲8六歩 ▽同 玉
飛車を寄ったら玉が引き、歩を叩いて玉戻す。この動きを2回繰り返したらいよいよ収束です。

【25手~31手】
▲8七歩 ▽8五玉 ▲7五飛 ▽8四玉
▲7三飛成 ▽8五玉 ▲7五龍Ⓑ まで31手詰
Ⓑ:▲7四龍でも可
▲8二龍・▲8三龍・▲7六龍・▲8六歩以下の最終手余詰あり

予想した完全作裸玉の手数と持駒枚数とが合致
「仮に天王山を含めた盤中央の完全作裸玉が存在するとしたら、手数と持駒枚数はどんな感じになるのか?」を詰将棋おもちゃ箱様が公開している裸玉完全作のリストから統計をとった結果、手数は23手~33手(信頼度>99%)、持駒枚数は7枚~11枚(信頼度>99%)になると予想していました。
今回発見した4六玉完全作裸玉の手数は31手、持駒枚数は9枚と予想に合致していました。持駒枚数に関しては探索する際に役立つ数字だと思います(確信はありませんが)。
【完全性の証明】飛打・香打の範囲
今回検討にあたって、飛車の打ち場所の検討範囲例を次のように定めました。基本は盤の下段を逃げ回るため、左右4マス分、上3マス分(七段目より下では三段目まで)、下端までとしました。盤上に既に打った駒が飛車の移動を邪魔をする場合はこれより範囲を広めて検討しました。

香の打ち場所の検討範囲は、香と他の駒の利きが交差しない場合に限って短打と最遠打のみの検討とし、その間の検討は以短打扱いとして省略しました。とはいえ、ほとんどは飛車や龍の利きと交差しているので、そんなケースは数えるほどしかありませんでした。
完全性を証明する検討NOTEは下記のリンク先の通りです。
五段目への逆算は正に「驚愕の断崖」
4六玉裸玉をNOTEで公開した理由は3つあります。1つ目は、新型コロナウイルスのオミクロン株対応ワクチンを接種してから数日経ち、万が一体調が急変して死亡したり、ブレインフォグ等の症状に見舞われた場合に報告できなくなると判断したからです。
2つ目は、好手も好手順もない詰将棋を詰パラ系に投稿したところで窪田義行(空気から整えていく 環境派)峰王尊師のように何かにつけて難癖をつけられるのがオチだからです。好手・好手順を含む美しい詰将棋が並ぶ詰パラ系を害する汚物は排斥されて当然でしょう。そんな扱いを受けるなら自分は小汚い無好手詰将棋をNOTEで垂れ流す一探索者で結構です。
3つ目は、五段目への単純な2手逆算ができなかったからです。例えば、銀1枚を加えた5五玉・4五玉・3五玉の持駒【飛2銀3桂2香歩2】はすべて余詰がありました。銀の代わりに角や金を加えたとしても戦力過多で流石に余詰が発生するでしょう。
5五玉|飛2銀2桂3香歩2=▲4七桂▽4六玉で不詰の模様
5五玉|飛2銀3桂2香歩2=初手▲5六歩の余詰あり
4五玉|飛2銀3桂2香歩2=初手▲4六歩の余詰あり
3五玉|飛2銀3桂2香歩2=初手▲2六銀の余詰あり
3五玉|飛2銀2桂3香歩2=▲4七桂▽4六玉で不詰の模様
また桂1枚を加えた5五玉・3五玉の持駒【飛2銀2桂3香歩2】は▲4七桂▽4六玉で不詰のようです。「驚愕の断崖」での完全性の証明の初手⑥歩打が▽3七玉と交わして不詰だったように、4七に駒があると七段目以下に玉が逃げた際に飛車や桂の利きを遮って詰まなくなってしまうのです。微かな希望があるとすれば、香と歩に絞られそうです。
4五玉|飛2銀2桂2香2、4五玉|飛2銀2桂2香2歩……
=▲4九香を打ったとしても▽4七歩などで不詰になる可能性大
4五玉|飛2銀2桂2香歩3
=▲4六歩に▽5六玉や▽3六玉と交わされると、4六歩が下段に逃げ込んだ際に飛車の利きを邪魔して不詰になる可能性大
「驚愕の断崖」と名付けた理由はこれらの六段目から五段目へ遡ろうとする逆算、とりわけ天王山へと至るルートが死路になっていて、まるで眼前に垂直の大断崖が聳え立っているように感じられたからでした。この点については非常に残念でしたが、持駒の組合せサンプルが一つ得られたこと自体は今後の天王山裸玉の探索には大いに役に立つでしょう。
【まとめ】
天王山の完全作裸玉への貴重な探索拠点になるかもしれない4六玉完全作裸玉【4六玉|飛2銀2桂2香歩2(はる筆線屋、NOTE、2022.10.25.)】を発見しました。

スペシャルサンクス
詰将棋おもちゃ箱 様
裸玉完全作リストを拝見いたしました
パナソニック将棋部 御中
脊尾詰を使用させて頂きました
窪田義行(空気から整えていく 環境派)峰王 尊師
拙エレベーター詰に対し、”詐術的印象を与える”と迚も心温まる難癖をTwitter上で引用ツイートして頂き、スマホ詰パラからの引退及び裸玉・双裸玉等の無好手詰将棋を重点的に探索する契機を頂戴いたしました
いいなと思ったら応援しよう!
