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塩麹と醤油麹 -発酵の基本知識-㊸
塩麹とは
近年の発酵食ブームの火付け役ともいえる塩麹は、実は日本の伝統調味料かつ、漬け床で、麹と塩と水を混ぜて発酵させたものを塩麹といいます。
1週間から10日ほどでできあがり、さまざまな料理へ応用ができます。
塩麹は古くは漬物の原料として利用されてきました。
また、漬け床として利用される際は、麹の酵素が食材の成分を分解し、栄養吸収をよくするために胃腸などの負担を軽減します。
また、タンパク質分解酵素により、分解されたタンパク質は、アミノ酸へ変化し、うまみ成分となります。
漬け床の塩麹は、醤油や味噌などと合わせることにより、分解のスピードを速め食材を柔らかくしたり、うま味成分や甘みを加える効果もあります。
塩麹の種類
塩麹(米)
米麹を使用した塩麹で、一般的に塩麹というと、このこと指しています。
玄米塩麹
米麹のかわりに玄米麹と塩と水を混ぜて発酵させたもので、ぬかの成分がある分、塩麹に比べて分解スピードが遅いのが特徴です。
麦塩麹
同じく米麹のかわりに麦麹を使用した塩麹で、組織が柔らかいために、米麹に比べて分解スピードが速いのが特徴です。
醤油麹とは
塩麹は米麹と水と塩が原料ですが、醬油麹は米麹と醤油が原料となります。
醤油を醸造する際に用いられる醤油麹とは別のもので、この場合は調味料としての醬油麹を指します。
米麹を醤油と合わせ1カ月程寝かせると、醤油のタンパク質を分解する作用によりうまみ成分が増加し、米麹のデンプンがブドウ糖に変化しているために、甘みが加わり、砂糖を加えなくても煮物や、照り焼きなど和食を中心とした味付けに役立ちます。
甘酒やみりんと組み合わせることにより、砂糖を使わずとも、十分な甘みを付加するこができ、糖分以外の栄養効果も望めます。
塩麹と醤油を調理に使用する際の注意点
塩麹と醤油麹には、デンプン分解酵素のアミラーゼと、タンパク質分解酵素のプロテアーゼが含まれています。
デンプンやタンパク質を分解する作用を利用し食材を柔らかくする利点がありますが、逆に柔らかくさせる必要がない調理に使用する際は注意が必要です。
たとえば、デンプン質であるイモ類を食材として使用する場合には、ポタージュなどのなめらかな口当たりを生かした調理法に下味を兼ねた意味で塩麹を使うことで、デンプン質を分解し、とろみをつけることに役立ちます。
その反面、ポテトサラダやコロッケなど、じゃがいもの食感を残したい場合に味付けとして塩麹を使用してしまうと、アミラーゼ酵素がじゃがいものデンプン質を分解してしまい、食感が損なわれます。酵素活性を求めない調味料として塩麹を使う場合、火入れ処理を行うことで分解力は失活します。
火入れ処理の仕方
塩麹や醬油麹を湯煎、または直火にかけながら6分から7分加熱処理をします。
かき混ぜながら次第にとろみがついてきたら火からおろします。
余熱でさらにとろみがついてきます。
60℃以上温度で沸騰しない程度に加熱すれば、酵素の活動は失活しますが、うま味や甘みの強い無添加の塩味調味料として使用することができます。
ただし、60℃を超えずに加熱をすれば、酵素失活をさせることなく、最低限の雑菌をおさえることができる利点もあります。