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ぬか漬け -発酵の基本知識-㊺
日本は世界にも類を見ないほどの漬物大国であり、その種類は日本全国でも数百種類にものぼります。
中でも栄養面において最も優れているといわれているのが「ぬか漬け」で、微生物がもっとも生きた食材といえるのがこのぬか漬けです。
ぬか漬けとぬかみそ漬け
本来はぬか漬けとぬかみそ漬けは異なるものでした。
その違いは、ぬか床へ漬けこむことの有無ですが、現在はどちらもぬか漬けと呼ぶことが多くなっています。
ぬかみそ漬け
米ぬか、塩、湯冷ましを混ぜ混み発酵・熟成させた漬け床に野菜などの材料を漬けこんだものを指します。
数時間から数日漬けることで出来上がります。素材は主に野菜類ですが、肉や卵など動物性の食材を漬けることもあります。
※現在は、漬物としてのぬか漬けも、こちらに分類されることが多くなっています。
糠漬け
米ぬかと塩で漬けたもので、重しをのせて脱水します。数週間から数カ月漬け込むことで出来上がります。素材は主に野菜や魚介などを使用します。
※主にたくあん、石川県の郷土食こんか漬けやふぐの卵巣漬けなどがこちらに分類されます。
※こちらでは野菜をぬか床に漬けた漬物のことをぬか漬けと呼ぶこととします。
ぬか漬けの歴史
平安時代にはぬか漬けに近い漬物が存在していましたが、当時米ぬかは貴重品で貴族などの上流階級の人々のみが口にすることができました。
江戸時代になると、精米技術が発達し、玄米を白米にして食べられるようになります。
江戸の人々は、もともとの玄米食から白米を食すようになり、精米の際に出る米ぬかを有効利用する方法で生まれたのがぬか漬けです。
また、ぬかに含まれるビタミンB1が白米にすることで不足するようになり、脚気の患者が増加し、ぬか漬けを食すことで、足りない栄養成分を補いました。
ぬか漬けに適した食材
そのまま漬ける
ニンジン、キュウリ、大根、カブ、パプリカ、セロリ、ショウガ、キャベツ、オクラ、ピーマン、アボカド、昆布、切干大根、プチトマト、リンゴ、エリンギ、こんにゃく、とぎ汁で茹でてから漬ける
ブロッコリー、ゴボウ、カリフラワー、ジャガイモ、カボチャ、ズッキーニ、レンコン、サトイモ、アスパラガス、山芋塩もみしてから漬ける
ナス、菜の花、大根の葉、カブの葉別床に分けて漬ける
ゆでたまご、チーズ(モッツァレラチーズ、クリームチーズ)、サバ、かまぼこ、スルメ、ソーセージ(加熱済み)
選ぶ野菜のポイント
ぬか床には殆どの野菜を漬けることが出来ますが、水分の多い白菜やトマト、アクやクセの強いネギ類や玉ねぎ、ゴーヤなどはあまり適していません。皮を剥くとより早く漬かりますが、できれば無農薬や有機野菜を皮ごと漬けると、野菜丸ごとの栄養が取れますのでそのような野菜を使用しましょう。
また、野菜の皮には栄養はもちろん、乳酸菌や酵母菌が多く住んでいます。野菜についた菌がぬか床へ移動し、ぬか床の環境が早く整います。
皮つき野菜には、γオリザノールのアティポネクチンという成分が2型糖尿病を抑えるホルモンを活発にすることがわかっています。アティポネクチンは特に大根に多く見られます。これらのことから、無農薬、有機野菜を皮ごと漬けることが、最も有効なぬか漬けに適した野菜といえます。
漬ける野菜にもよりますが、夏場は半日~1日、冬場は1日~2日で食べごろになります。