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だから、書かずにはいられない

Kindle本を出して、やはり書くことが私の本質だと、痛切に思った。

同時に、書いた文章で対価を得たい気持ちが強固になった。
便宜上名乗っていたコンテンツクリエイターの肩書きに違和感を覚え、プロフィールをライターと書き換えたのが昨日のことだ。

ここ最近は毎日、朝ダイニングテーブルでA5のノートを開き、自分の考えていることを綴っている。
いわゆるモーニングページや、ジャーナリングだ。

これらが世間に浸透するずっと前、中学生の頃から、休み時間にB5の青いキャンパスノートを広げて独り言を書いていた。

ただ頭の中のおしゃべりや感情を吐き出すのなら話が変わってくるが、手を動かして考え抜いた文章は、実のあるものになる。
あらかじめノートに書きながら自分なりの答えを出したnoteは、キーボードやフリック入力したものよりずっと手ごたえを感じる。

手書きとデジタル機器では何か違いがあるのか調べてみると、noteでこのような記述を見つけた。

キーボードでは文字を形成する際に手を使う機会がなく、文字はキーを押すことで「選択」され、形成されません。大人を対象とした研究でも、文字を選んだり見たりするよりも、「文字を書く(形成する)」方が脳が働いていることが分かります。また、ワシントン大学で行われた子どもを対象とした研究では、指を動かすことで思考が促されることが示されています。

「パソコンでの思考 vs 手書きでの思考」より引用

手書きでなくとも、まっさらなエディタに素直な本音を綴れる人もいるかもしれない。

だけど手書きに比べ、キーボードやフリック入力は脳を使わない。
だからありふれた言い回しが多くなったり、うわべだけの言葉を並べ立てたりしてしまうのだろうか。
このnoteも一度エディタで打ったが、上っ面で話している気がしてほとんど消した。

書く行為の何が好きかというと、私は「自分が考えていることを形にして、整える」ことだと思う。

noteを書くようになって3年半経った。
肩肘張らず書けるようになるまで、その半分以上の期間はかかっている。

私の文章は流麗な言葉遣いでも、ウィットに富んだものでもない。
いえるのは、素直で、誠実であること。

とはいえ、この間まではネガティブなことに焦点を当てる傾向が強く、曇った心で言葉を紡ぐこともままあった。
そんな私を、古賀史健さんのnoteが改心させてくれた。

今は美しいものや嬉しいことを噛みしめ、多少の上手くいかないことや理不尽は以前より引きずらず、発想の転換を試みる余裕が生まれた。

noteを通して「人に伝えるための文章」を意識するようになったが、同時に心に留めておきたいことがある。

文章や言葉で、相手の気持ちを変えようだなんておこがましい。

さわらぎ寛子著「売れ続けるネット文章講座」より引用

noteを始めて間もない頃、私の文章の基礎を作ってくれた本の一文だ。

人の心を動かすために書くのではない。伝えたい、書き手が望むのはそこまでだ。
できるだけ偽りや装飾、おごりのない文章を書き続けた先に、思いがけず反響はある。

noteやWebマガジンを書いていると、親しい人が徐々に「はじめさんの文章が好き」と言ってくれるようになった。

Kindle本を出してからは、特に嬉しい言葉をいくつかいただいた。

ネットでいくらでも情報は見つかるけれど
本の中には調べただけでは出会えない
心の奥に響く優しさがありました。

ひいろさんのnoteより

私ははじめさんの文章で好きな所に、なんていうんでしょう、美学や信念を感じるというのがあります。

suzuさんのnoteより

決して洒落た文章でもないのに、普段自分が特別意識していないところまで、文章や言葉から感じ取ってもらえたこと。
言われてみると確かに私の文章に根付いているもの。

それを言及してくれたのがとても嬉しくて、胸がいっぱいになった。
感無量になると、本当に何も言えなくなるのだなと身をもって知った。

文章について思いを巡らせていると、ふとnoteを始めて間もない頃語っていたことを思い出した。

私が今思うことは、「差し出す文章は、希望あるものにしたい」。

(中略)誰かの助けになるのは難しい。だからせめて、明るい灯の宿った言葉を、文章を綴りたい。
読む人が少しでも明るい方を向けるような発信をしていきたい。

「noteは私を積極的にしてくれた」より引用

ほとんど忘れていたが、その志は現在の個人のコンセプト「心を照らす」に受け継がれている。

物書きとしては若輩者だが、言葉がもたらす喜びを大切にしたいし、心を曇らせるものにはあまり気をとらわれないようにしたい。

いつも考えてばかりの私だから、書きたいことが浮かぶ。
書かずにはいられないのだ。


※ヘッダー画像はみんなのフォトギャラリーからお借りしました。ありがとうございます。

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おおやまはじめ/手帳と暮らしのライター
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