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【日本史】鯰絵と吉原遊女「志んよし原大なま津ゆらひ」
こんばんは、瑠奈です。
自己紹介こちら👇
今回は鯰絵(なまずえ)についてご紹介します。
鯰絵と吉原遊女はどのように関係があったのでしょうか。。。
鯰絵とは
江戸時代、ナマズは地震を起こすものと考えられていました。
鯰絵というのは、地震の原因である「鯰」を主に描いた錦絵のことです。
(錦絵というのは、浮世絵の一つ。)
一般的に、1855年(安政2)10月2日の夜に江戸で発生した安政大地震の後に出版された絵を、鯰絵としています。
ナマズを擬人化したものが多く描かれますが、
その他に恵比寿様、職人、要石、鹿島大明神などがよく登場します。
では、この鯰絵と吉原遊女はどのように関係があるのか。
一見、全く関係がないものに思えますが、
そんなことないんです。
鯰絵と吉原遊女
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この絵は『志んよし原大なま津ゆらひ』という鯰絵です。
現代語に変換すると「新吉原大ナマズゆらい」ですかね。
どこに遊女が描かれているかわかりますか?
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ココ!
大きな簪を何本も付けている遊女がいますね。
ナマズの上に乗りながら、三味線や棒、キセルなどを持って、ナマズを殴っています。
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禿も、ナマズに怒っています。
「こいつめこいつめこいつめ」って言っていますね。
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太鼓持ちや遣手ばばあも描かれています。
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各々が、武器を持って、ナマズへの怒りを露わにしています。
安政江戸地震で、吉原遊廓も大きな被害を受けました。
地震後に発生した火災は、吉原遊廓を焼きました。この火災に乗じて、遊女に逃げられるのを防ぐため、抱主が遊女を店の地下室に閉じ込めたところもあったそうです。
多くの遊女が閉じ込められたことで、逃げ場を失い、亡くなるという悲惨な例がありました。
そのため、被害を受けた遊女たちを筆頭に、吉原の人々が、ナマズに殴りかかっているのです。「お前(ナマズ=地震)のせいだ!」と。
怒りで終わらないシャレ文化
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この鯰絵をよく見てみると...
ナマズの台詞で、面白いことが書かれています。
なまづ「をいらんたちに
のられてうれしいよ うれしいよ うれしいよ
そんなにのると またもちあげるよ いすぶるよ
いいかへ いいかへ いいかへ
ナマズ「花魁たちに乗られて嬉しいなぁ〜そんなに乗るなら、また持ち上げちゃうよ〜 揺らすよ〜 いいかな〜」
だそうです。笑
ドM変態ナマズとでも言おうか。
さすが、江戸文化。
ただの、怒りの錦絵で終わらせません。
しっかりシャレを効かせています。
これだから、江戸は面白い。
江戸っ子は粋だからね。
ネガティブもオモシロに!みたいなところありますからね。
儲からないヤツがいれば、儲かるヤツがいる
先ほど、吉原遊女はこの地震で、
甚大な被害を被ったとしました。
命を落とした遊女もたくさんいます。
ですが、いつの世も物事は二項対立。
この震災で、失うものが多かった人がいれば、
得るものが多かった人もいるのです。
それがこの鯰絵の左上に描かれる連中。
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地震後の復興景気で思わぬ儲けを得たのが、
鳶・大工・左官の建築三職。
倒壊した建物、家の建築とかでね。
そんな建築三職が
「待ちねえ待ちねえ 俺が止めた止めた」
「待ってくれ 待ってくれ」
「おいおいおい そんなにぶちなさんな ぶちなさんな」
と、ナマズへの乱暴を止めようと、駆けつけている。
そう、この地震で儲けた人々もいたのです。
この建築三職は、鯰絵の中に、儲けた人々の象徴として登場することが多いのです。
鯰絵の面白いところ。
それはただ震災で被った被害を描くだけでなく、
皮肉と対比も描かれているところ。
鯰絵は、この『志んよし原大なま津ゆらひ』だけでなく、たくさんの種類が描かれます。
今回は吉原遊女を筆頭とした遊廓の人々が、
ナマズに乱暴していましたが、震災から日が経つにつれ、遊廓も仮宅(臨時営業所)で営業を再開し始めます。
建築三職などのこの震災で儲けた人々が仮宅の遊廓に足を運ぶようになり、遊廓も儲け始めるのです。
それに伴い、鯰絵も変化し、
遊女たちが儲かった人々として描かれていきます。。。
すごいよね、江戸って。
今回は安政大地震で描かれた鯰絵について、
吉原遊女との関係を示しながら、紹介しました。
江戸の粋が感じられる鯰絵。
「鯰絵」でぜひ検索して見てくださいね。
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