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金と物と、人の心と

はじめに

 みなさんは【コペルニクス的転回】という言葉を知っていますか。この言葉は、「ある物事の見方が180度変わる(真逆になる)ことの例え」として用いられる言葉ですね。

 日常生活の中であることで言えば、電車に乗って出発時間まで待っていると、窓の外に見える『隣の電車』が動きだし、「そっちの電車の方が、出発時間が早かったのか」なんて思いながら、そのまま外を見ていると、実は自分が乗っている電車の方が動きだしていた...なんてことは、日常的に経験しますね。
 動きだしたのは『隣の電車』だと思っていたのに、実際に動きだしたのは『自分が乗っている電車』だった ってことです。

 あるいは遥か昔、世界はアリストテレスやプトレマイオスの提唱した【天動説】を信じていました。天動説は『地球を中心として、太陽・月・星が回っている』とした説です。

 地球が『不動(動かないもの)』であり、太陽などが『可動(動くもの)』でした。(ここには『天球』という概念が存在します。この概念について、私は正確に説明できるわけではないので割愛します。)

 しかし、この天動説に対し真逆の発想から、

 地球が『可動(動くもの)』であり、太陽が『不動(動かないもの)』としたのが【地動説】です。地動説は『太陽を中心として、地球が回っている』としました。
 地動説で最も有名な人物は、『ガリレオ裁判』で知られるガリレオ・ガリレイですが、実はそれよりも前に地動説を唱えた人物がいたのです。

 それが冒頭で紹介した【コペルニクス的転回】の言葉に残っているニコラウス・コペルニクスです。

 このように、物事は反転や逆転をすることがあります。自分自身の経験(動きだしていたのは、自分の乗った電車の方)でも、歴史上の出来事(動いていたのは、地球の方)でも、反転や逆転は常に起こっていると言ってもいいかもしれません。

 しかし、その反転や逆転に気づかない人は、いつまでも「動きだしたのは隣の電車だ」と思っていますし、今でも「地球を中心に太陽が回っている」と思ってしまいます。

 物事には『原因』と『結果』があります。みなさんも「原因があるから、結果がある」と考えますよね。原因がにあり、そのに結果が生まれます。
 身近なもので例えるなら、

 『花が咲く(原因)から、昆虫が集まってくる(結果)』

 この光景は誰でも目にしたことがあると思います。花の鮮やかな色や蜜の香りに引き寄せられたミツバチや蝶が飛んできて、花の蜜を集めていますね...ですが、

 ここで『原因』と『結果』を【逆転】させてみましょう。

 A『花が咲く(原因)から、昆虫が集まってくる(結果)』を、
 B『昆虫が集まってくる(原因)から、花が咲く(結果)』に逆転してみます。

 では、このAとBではどちらが正解だと思いますか?

 実は、この2つは『どちらも正解』です。そして、どちらも正解だということを、みなさんはずっと前から知っています。なぜなら、それは小学校で習ったことだからです。

α. ミツバチは繁殖のために、自分で動き回り蜜を集めています。自分のエネルギーにすることはもちろん、巣にいる幼虫にも蜜を与えなければ、ミツバチは絶滅してしまうので、花にある蜜を集めます。蜜のある花を見分けるために、『香り』を感知し、『色』の識別もして蜜を探り当てます。

β. 反対に、植物は自分では動けません。その代わり、鮮やかな色の花を咲かせ、蜜を出すことで、それを集めにきたミツバチに受粉の橋渡しをしてもらいます。花を咲かせず蜜がなければ、ミツバチは来ないので受粉ができません。つまり、生息範囲を広げられません。

 小学校でこのようなことを習ったことがあると思います。さて、この α と β の2つの説明を聞いて、『原因と結果の【逆転現象】が起こっていること』に気づきましたか?
 学校で習うことや日常生活の中、歴史上の出来事で【逆転現象】が起こっているのなら、『仕事中』に逆転現象が起こっていても、何も不思議ではないでしょう。

 ちょっと前置きが長くなりすぎましたかね。そろそろ怒られそうなので、本題に入ります。

 『仕事』を進めていく上で、重要な3つの要素についての話です。それぞれを【自分自身の経験】を振り返りながら読んでいってください。


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1. Multitask(同時作業)

 【マルチタスク(同時作業)】という言葉があります。意味は『複数の作業を同時に進める』ことです。器用な人や賢い人は、簡単にやったりしますよね。みなさんの中にもいると思いますし、自分はできなくても、マルチタスクができる人と一緒に仕事をした経験は少なからずあると思います。

 『まったく別』の仕事を同時に進めていくなんて、まるで「何人もの話を同時に聞くことができたと言われる聖徳太子かな?」なんて印象を受けますね。

 では、そのマルチタスクは本当に『凄い能力』なのでしょうか? 確かに、複数の仕事を同時に進めていくところを見ていると、「桁違いの能力だ」なんて思う人もいると思います。

 しかし、ここであえてマルチタスクを否定してみましょう。先に断っておきますが、マルチタスクができる人たちを否定したいわけではありません。むしろ、仕事を円滑に進めるためには『必須の能力』だと思います。

 ただ、マルチタスクは他人から見ていると、その能力の特性上『万能』だと思われているところがありますので、「いやいや、万能ではなく欠点もあるんだよ」ってことを言いたいのです。

 マルチタスクは万能 であるならば、
 マルチタスクは無能 でもある。

 さて、次に述べる2つの言葉に覚えはありませんか。

 阿.「割り込まないで、順番に並びなさい」
 吽.「散らかさないで、片付けなさい」

 誰もが言われたことがある言葉ですね。そうです、子供の頃、親に言われた言葉です。順番を待たずに横から割り込んだり、部屋を散らかしたりすると、こんな感じで叱られました。
 今はもう大人ですので、こんなことは言われませんし、言っている親の気持ちも言葉の意味も分かると思います。当時の親の気持ちを考えると「散々、イライラしたんだろうなぁ」と思ったりもしますね。

 万能だと思われているマルチタスクですが、実は上記の2つに反するのです。マルチタスクが反している2つの要素(欠点)とは『割り込み』『散らかし』です。
 では、『割り込み』と『散らかし』が仕事ではどのようになるのか、それぞれを具体的に見てみましょう。簡単な例としてラーメン店の『調理』と『会計』の2つの仕事を取り上げてみます。

 A. 調理...1 どんぶりを用意する 2 スープを入れる 3 麺を入れる 4 提供する
 B. 会計...I 料金を伝える II お金を預かる III お釣りとレシートを渡す

 実際には、麺を茹でたり、「ありがとうございます」とお客さんに伝えたりしますが、できるだけシンプルにするためにこの形にしています。

α. 割り込み

 マルチタスクでこの2つの作業を同時に行う時、それぞれの作業を交互にやります。『1. 2. I. II. 3. III. 4.』や『I. 1. 2. II. III. 3. 4.』などの順番で作業します。文章で表すと、

 『1. 2. I. II. 3. III. 4.』は、

 『どんぶりを用意して、スープを入れて、料金を伝えて、お金を預かって、麺を入れて、お釣りとレシートを渡して、提供する』

 『I. 1. 2. II. III. 3. 4.』は、

 『料金を伝えて、どんぶりを用意して、スープを入れて、お金を預かって、お釣りとレシートを渡して、麺を入れて、提供する』

 このようになります。しかし、Aの作業順序から見たら、Bの作業である『I』などが途中で入ってきていることになりますし、Bの作業順序から見たら、Aの作業である『1』などが途中で入ってきていることになります。

 これが『割り込み』です。

 上述の『阿』に反してしまいます。割り込まないで、順番にしなきゃいけないのに、マルチタスクをすることで、順番を守らずに割り込むことになってしまうのです。 

 子供の頃に習ったことと矛盾してしまいますね。

 ただ、この場合は、割り込まれているとは言っても『A. B毎の順番』は守られています。Aは1. 2. 3. 4.の順番、BはI. II. III.の順番になっています。

 では次に、A. B毎の順番さえ守らないならどうなるでしょう。マルチタスクとは『複数のことを同時に行うこと』なので、当然そんなこともあり得ます。

β. 散らかし

 A. 調理...1 どんぶりを用意する 2 スープを入れる 3 麺を入れる 4 提供する
 B. 会計...I 料金を伝える II お金を預かる III お釣りとレシートを渡す

 A・B 2つの作業を『2. III. 4. I. 3. II. 1.』や『4. II. I. 1. III. 3. 2.』など、明らかに無茶苦茶な順番で作業することになります。無茶苦茶というか意味不明ですね。文章で表してみるとすぐに分かりますが、

 『2. III. 4. I. 3. II. 1.』は、

 『スープを入れて、お釣りとレシートを渡して、提供して、料金を伝えて、麺を入れて、お金を預かって、どんぶりを用意する』

と、支離滅裂な文章が出来上がります。みなさんも試しに『4. II. I. 1. III. 3. 2.』を文章で表してみてください。なかなかの異次元的哲学の境地だと思います。

 そして、これが『散らかし』です。

 A. B毎の順番さえ守らず、ぐちゃぐちゃに作業しています。これは上述の『吽』に反しますね。本人はマルチタスクをしているつもりでも、周りから見たら散らかしているだけのように見えることがあるのです。

 料理や建築のように、作業の順番が絶対に変わらないものがあるのに、他の仕事になった途端、急に順番がなくなり無茶苦茶に進めていきます。順番通りに、あるいは『割り込み』さえ嫌なら【Aが終わってからBをやる】など、何もマルチタスクにこだわる必要はありません。

 マルチタスク(同時作業)ができないなら、シングルタスク(順番作業)でやればいいという話です。


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2. Double Bind(二重拘束)

 次は【ダブルバインド(二重拘束)】についてお話しします。英語にするとなにか難しそうな印象を受ける言葉ですが、学生時代に多くの人が経験していることです。

 学生時代、先生に「帰れ!」と言われて、本当に帰ろうとしたら「帰るな!!」と言われたことがありませんか。実はこれが【ダブルバインド(二重拘束)】なのです。要は『帰っていいのか、帰っちゃダメなのか、判断ができない=どうしたらいいのか分からない』ってことですね。

 社会に出てからも、似たようなことが起こります。

 よく上司に「主体性を持って仕事に臨め」と言われることがあります。仕事を受け身=命令を待つ ばかりではなく、自分から自発的に仕事をしていけという意味だと思います。

 しかし、いざ主体性を持って仕事をしてみると「なんでこんなことしたんだ?」「命令通りにやれ」など、まるで主体性を持って仕事をすることがダメかのような指摘を受けることがあります。

 これが【ダブルバインド(二重拘束)】にあたります。

 そして、そうなってしまった部下は『どうしたらいいのか分からなくなる』ので、どんどん仕事を後手でやっていくことになりますし、一番悪いと仕事をしなくなったりします。

 主体性を持つべきなのか、持つべきじゃないのか。判断ができないからです。

 ここで「いや、だからそれはさぁ(笑)...」などと、部下を小馬鹿にするような態度をとってはいけません。部下の解釈に問題があったのは認めますが、上司としての伝達方法にも問題があります。

 自分が『言ったこと』と、相手に『伝わったこと』は、【全然違うことがある】のです。
 上司であるならば、自分が言ったことを部下が『どう解釈しているか?』の確認もしておいた方がよいでしょう。

 お子さんを持つ親なら知っていますが、2歳の子供は『魔のイヤイヤ期』といって、親の言うことに対していちいち「イヤ!」と逆らう時期があります。それから徐々に、「イヤ!」とは言いつつも、素直に「分かった!」と従うこともあるように成長していきます。

 この『逆らう』と『従う』の2つのうちどちらを取るかは、子供自身で判断していますが、親にとっては、その判断の『基準が分からない』のです。親にとっては分からないことですが、子供にとってはすごく大事な基準になっていたりします。

 子供に対し、理詰めで説明してもまったく意味はありません。なぜならまだ子供なので理屈なんて分かるわけがないからです。子供のを知ることが、仕事を円滑に進めていく上で、非常に役に立つかもしれませんね。

 子供の話が出たところで、算数で習う2つの数式を並べて見てみましょう。

 A.. 1 + 1 = 2
 B.. 2 = 1 + 1

 この2つの数式を言葉で表してみると、

 A.. 1 と 1 を足した(原因)ものは、2(結果)です
 B.. 2(結果)は、1 と 1 を足した(原因)ものです

 2つを見比べてみるとすぐに分かりますが、Aは原因を主語としているのに対し、Bは結果を主語にしています。原因と結果のどちらを主語にしても意味は通じますし、正しいですね。

 ただ、気をつけないといけないのは、日本は『起承転結』や『序破急』などの、【原因から始まり、結果で終わる】との文化があります。
 ですので、Bのように先に『結果から話している』のに、相手には『原因から話している』と捉えられてしまうことがあるのです。

 これも、自分が『言ったこと』と、相手に『伝わったこと』は、【全然違うことがある】ことの要因の1つだと考えられます。話し手からすると結果から話してるのに、相手には原因として伝わってしまっているので、そこに齟齬が生じ、誤解釈によるミスが発生するのです。


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3. Reverse Thinking(逆転の発想)

 さて、最後は【二律背反】という言葉について考えていきましょう。『逆転の発想』にも通じる考え方です。

 身近にあるもので分かりやすい例を挙げると『火』と『水』ですね。どちらも生きていく上で欠かせない要素です。しかし、この2つは【二律背反の関係】にあります。

 A. 火は、水を蒸発させる(消す)
 B. 水は、火の燃焼を止める(消す)

 α. 火は身体を温めますが、熱すぎる(暑すぎる)と「火傷」や「乾き(渇き)」をもたらします。
 β. 水は喉を潤しますが、過剰に飲むことは危険ですし、海や川で「溺れる」のも危険です。

 . 暑さで喉が渇いたら(火)、水分を補給する(水)必要があります。
 . 水中で体温が下がったら(水)、体を温める(火)必要があります。

 【二律背反の関係】にある2つなのですが、どちらもお互いに『消す』という部分は共通していますし、補い合っています。

 他にも、『白』と『黒』の2つの色も【二律背反の関係】にあります。

 『白』は光の三原色(赤・青・緑)を重ねた色。
 『黒』は色の三原色(マゼンダ・シアン・イエロー)を重ねた色。

 『重ねた色』との部分は共通します。実は『白』と『黒』には、ちょっと面白い性質があるのです。一般的なこの2つの色に対する【イメージ(印象)】なのですが、

 白=キレイ、清潔、安全、受容
 黒=汚い、不潔、危険、拒絶

という【イメージ(印象)】を持つことがあります。しかし、『光の世界』ではこれが逆転しています。

 白...すべての光を【反射】する=すべての色を拒絶する
 黒...すべての光を【吸収】する=すべての色を受容する

です。ここで大事なことは、

 白だから(原因)、すべての光を反射する(結果)のではなく
 すべての光を反射するから(原因)、白に見える(結果)のです。

 同様に、

 黒だから(原因)、すべての光を吸収する(結果)のではなく
 すべての光を吸収するから(原因)、黒に見える(結果)のです。

 (『原因』と『結果』の【逆転現象】)

 こうなっています。これは物理学的(光学的)な事実です。『光』を突き詰めて考えていけば『電磁波』になります。そして、電磁波は『波』ですので【波長】があります。この波長の周波数によって様々な『色』に変わり我々の目に映っているのです。

 このように、世界のあらゆる事物が『二律背反の関係にある』のです。

 では、そろそろ仕事の話に戻りましょう。先ずは、『超』がつくほどの基本からいきます。

 社会にはいろんな『仕事』がありますよね。1つの会社の中でも様々な部署に分かれていて、その部署『専門』の仕事をしています。仕事内容を詳しく知っているわけではありませんが、近年では、コンプライアンスの観点から『法務部』の仕事が増加傾向にあるなんて話も聞きますね。『人事部』では【採用】に関して、「どんな人物を採用するのか?」の基準を見失っているような会社もあるそうです。

 法務部や人事部は、会社にとって重要な役割を担っている部門ですが、ここでは『製造』と『営業』の2つの部門を取り上げたいと思います。どちらも会社組織を経営していく上で極めて重要な核(コア)となる『商品』に関して直接関わりのある部門ですね。

 2つの部門の仕事を簡単に言い換えると、

 製造=モノ(商品)を作る
 営業=モノ(商品)を売る

 このように言い換えると、ものすごく『簡単』なことをやっているかのような印象を受けますが、いやいやそんなわけはなく、ものすごく『難解』な仕事です。

 製造で『作るモノ』は、お客さん【欲しいモノ】でなければいけません。お客さん欲しくないモノなど作っても、お客さんは買わないので利益にならず、意味がありません。
 営業で『売るモノ』は、お客さん【売れるモノ】でなければいけません。お客さん売れないモノなど売っても、お客さんは買わないので利益にならず、意味がありません。

 (『原因』と『結果』の【逆転現象】)

 2つの部門に共通することは『お客さんの視点』から、自身の仕事を捉えているところだと思います。自身がやっている仕事は『自分のため』ではなく、『お客さんのため』ということです。

 注意しないといけない点は、『お客さんの要望』と『自分たちの欲求』の2つを【区別】して捉えることではないでしょうか。

 『要望』とは、相手から自分に向かってくるモノです。
 『欲望』とは、自分から相手に向けていくモノです。

 『要求』とは、相手から自分に向かってくるモノです。
 『欲求』とは、自分から相手に向けていくモノです。

 これらを明確に区別し、物事をどちらから見ているのか? どちらから考えているのか? を、自問自答しながら仕事に臨むことが大切だと考えます。

 α. 問題が起き、解決しようとしてもなかなかうまくいかない
 β. そもそも、なぜ問題が起きるのか? の『原因』が分からない

 このような時は、『逆転の発想』をしてみると解決の糸口が見つかるかもしれません。これまで見てきたように、『逆転の発想』は何も難しい話ではありません。『昆虫と花』『火と水』『白と黒』のように、日常的に目にするものが『真逆』になっていて、それらをなんの違和感もなく受け入れているのですから。

 『逆転の発想』をしたいなと思った時、下に記す『順番』にやってみると分かりやすいかもしれません。

 1.. 物事を『原因』と『結果』の2つに区別して書き出す
 2.. 書き出した『原因』と『結果』を入れ替える

 この方法で考えてみてください。ただ、ここで1つ疑問符がつくことがあると思います。上記にある「β. そもそも、なぜ問題が起きるのか? の『原因』が分からない」場合はどうすればいいのか? との疑問ですね。『原因が分からない』のですから、原因と結果の2つを揃えることができません。

 では、ここで1つ聞きたいことがあります。その問題のことを『結果』だと思い込んでいるのはなぜですか? という質問です。

 問題=結果

だと認識していますよね。だから、この問題(結果)になった『原因』を探している。

 実は、『原因』は目の前にあります。あなたが『結果』だと思い込んでいるその問題こそ、『原因』なのです。

 問題=結果 ではなく
 問題=原因 のことがある。

ってことですね。

 『逆転の発想』は、あまりやり過ぎると【思考の迷路】にハマってしまうようなことがあります。どちらを向いても出口が見えないみたいな状態に陥ってしまいますが、そんな時は「誰のための仕事なのか?」「自分がやろうとしているのはこれなのか?」など、視点をフラットにし、原点回帰して、俯瞰して見てみるとよいでしょう。


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おわりに

 仕事をしていく上で必要な3つの要素について考えてきました。みなさんから見て「納得できない」「理解できない」などがあったかもしれませんが、それは私の表現力(文章力)が足りなかったのだと思います。ご容赦ください。

 私は今まで、いわゆる『現場』で働いてきましたが、どこに行ってもなにか「似たような問題を抱えているな」と感じてきました。『まったく同じ』とはいかないまでも、根本原因は共通するものがあるんじゃないかと考えていたのです。

 そして、今回提示した3つの要素にたどり着きました。『似たような問題』が起こるのは、『原因』となっているものが『同じ』可能性があるからです。

 もちろん、場所によって『表面化』している問題には差異があります。しかし、その表面化している部分だけを見て解決しようとしても、必ず同じような問題が再発します。

 問題を解決しようとする時、2つの方法があります。

 A. 問題を解決する
 B. 問題が『起きる原因』を解決する

です。これを言い換えると、

 A は『表面化された問題を解決する』こと
 B は『深層部にある原因を解決する』こと

になります。

 問題や、その原因になっているものを『解決』するには、ある一定の知識や考察、観察など『知る力』が必要です。【考える力】と言っても良いかもしれません。

 一方、ある一定の智恵や配慮、共感など『分かる力』も必要です。【感じる力】と言っても良いかもしれません。 

 どれくらいの『知る力』や【考える力】を持っているか、どれくらいの『分かる力』や【感じる力】を持っているかは、それこそ人によって千差万別のものです。どれかの力が他人より劣っていたとしても、どれかの力は他人より優れているなんてことはザラにありますね。

 今回、例として提示してきたものは『真逆』になっているので、『分かりやすい』という利点がありますが、『極端すぎる』という欠点もあるものです。

 人はつい、「0か100か」なんて極端な考え方をしてしまうことがありますが、この世には『0か100かでは測れないものがある』ことも事実だと思います。

 金や物は、測れるモノです。
 人の心は、測れないモノです。

 この2つの狭間で思い悩み、考え、1歩ずつ成長していき、歴史が紡がれてきました。

 アリストテレスの天動説を覆した、コペルニクスの地動説。ニュートンの万有引力の法則を覆した、アインシュタインの相対性理論。アインシュタインの相対性理論を覆した、ボーアの量子力学。エジソンの直流送電を覆した、テスラの交流送電...

 人類の歴史は、前時代にあったものを『覆す』ことにより、発展してきたのかもしれません。

 大事なことは、覆した前と後で『優劣は無い』ことだと考えます。前からあるものが無ければ、覆すもなにもありません。覆すことにより、1つの方向だけではなく、反対方向にも道があることに気づけるのです。

 大人は、過去から続く安定した世界に居座ります。
 子供は、未来へ向かう不安定な世界に飛び立ちます。

 さて、【大人と子供】。この相反する真逆の2つを成立させてみましょう。この2つを成立させることが、人間に課された宿題なのかもしれません。


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*参考書籍*
 ・コペルニクス  よみがえる天才5 高橋憲一 ちくまプリマー新書
 ・トポロジカル物質とは何か 長谷川修司 講談社ブルーバックス新書
 ・生物はなぜ死ぬのか 小林武彦 講談社現代新書
 ・死に至る病 岡田尊司 光文社新書

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