【読書感想文】『〈あの絵〉のまえで』─擬似美術館めぐり
原田マハさんの「〈あの絵〉のまえで」を読みました。初の原田作品です。
原田さんといえばアート文学。美術に疎い私ですが、数年前に上野のモネ展へ行ってから、モネが好きになりました。「霧のヴェトゥイユ」を見て、水色と白が織りなす淡い色遣いに惹かれたのでした。絵の中に入って、差し込む光を浴びて、清々しい空気を吸い込みたくなります。
この短編集にモネの「睡蓮」が登場する作品があると知り、思わず買ってしまいました。
この本には6つの短編が収録されています。登場する画家はゴッホ、ピカソ、セザンヌ、クリムト、東山魁夷、モネ。人間関係に悩んだり、人生に行き詰まったりした主人公たちが、美術館で転機となる1枚の絵に出会います。本には絵が載っていなかったので、スマホで検索しながら読みました。
〈ドービニーの庭〉
フィンセント・ファン・ゴッホ 1890年
ひろしま美術館
https://www.hiroshima-museum.jp/collection/eu/vangogh.html(ひろしま美術館HPより)
〈鳥籠〉
パブロ・ピカソ 1925年
大原美術館
(写真は本の表紙より撮影)
〈砂糖壺、梨とテーブルクロス〉
ポール・セザンヌ 1893-1894年
ポーラ美術館
https://www.polamuseum.or.jp/collection/006-0426/(ポーラ美術館HPより)
〈オイゲニア・プリマフェージの肖像〉
グスタフ・クリムト 1913-1914年
豊田市美術館
https://www.museum.toyota.aichi.jp/collection/gustav-klimt(豊田市美術館HPより)
〈白馬の森〉
東山魁夷 1972年
長野県信濃美術館・東山魁夷館
https://media.thisisgallery.com/works/higashiyamakaii_03(This Is Mediaより)
〈睡蓮〉
クロード・モネ 1914-1926年
地中美術館
https://benesse-artsite.jp/art/chichu.html(地中美術館HPより)
苦しい状況は変わらないけれど、一枚の絵画との出会いが、自分を振り返ったり前を向くきっかけとなる、そんな物語です。いいなあ、私も出会いたい。
絵画だけじゃなく、物語や音楽、映画、演劇等、芸術や文化と言われるものってそういう力がありますよね。
このご時世もあり長らく美術館に行けていませんが、主人公とともに足を運び、絵画を眺めたような満ち足りた気持ちです。
コロナが収束したら、6つの美術館をめぐって自分の目で絵を見たいなあ。