小説『コズミック・テーブルマナー』#0
イントロダクション
記者界隈で沢口義弘の名を知らぬものはいない。「取材王」、「存在そのものが新聞記事」、「特ダネしか掴まない男」……彼はそんな二つ名をほしいままにする敏腕記者であった。その取材力の凄まじいこと、一度取材に出向けば、彼が持ち帰る大量の特ダネ記事により、その日の紙面における他記者の記事は悉く駆逐されてしまうのである。ある時にはテレビ欄を含む全紙面を埋め尽くしてもまだ収まらず、危うくあの「コボちゃん」までもが休載になりかけたというから驚きだ。
それが植田まさし