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地理・歴史学

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人の価値観は、外的環境に大きく影響されます。地球全体に関して時間軸・空間軸双方から、どのような環境のもとで我々が今ここにいるのか?解明していきたいと思っています。
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2020年12月の記事一覧

日本列島100万年史 「中部編」

■富士山はどうして美しいのか? 富士山は、紐や鎖などの両端を持って垂らした時にできる「カテナリー曲線」と呼ばれる曲線状の斜面を持った成層火山 だから。 火山はマグマの噴出によって形成されますが、マグマはシリカ(二酸化珪素)の成分(※)の割合によってその性格が決まります。 富士山はシリカが少ないために粘り気がない「玄武岩質マグマ」となり、噴火のたびに緩やかに流れて、ちょうど溶かしたチョコレートを山の上から何重にも垂らしてかけたようになるので、美しい「カテナリー曲線」とな

日本列島百万年史 「関東編」

◼️関東平野はなぜ日本最大の平野なのか 徳川家康が秀吉の命令で江戸に来るまで、関東平野、特に江戸の辺りは大湿地帯で洪水も多く、人の住めるような環境ではありませんでした。街道も、相模国(神奈川県)から東京湾を渡って上総に入るルートが昔のルートで、だから今の千葉県も上総→下総という順に日本の中心だった関西からみれば、このような順番になっていたのです。 ところが家康がこの広大な大湿地帯の開拓に成功して以降、日本の第二の中心となり、明治時代以降は、日本の首都となって、今は日本の人口

日本列島100万年史 東北編

◼️南北に沿った山地と平野の形成 東北地方は、プレートに対して並行に列島が位置しているため、列島中部以南のような雁行配列のような斜めに並んだ山地&平地形成ではなく、プレートとパラレルに山地&平地が形成されました。 東側の盛り上がった部分が北上山地などの山地(専門用語で外弧隆起帯という)、窪んだ部分が中央低地(山形の盆地や横田盆地、さらに奥の盛り上がり部分が奥羽山脈で(同じく火山フロントと内弧リッジ)。 火山帯は海洋プレートが大陸プレートに沈み込んでプレート上面の深さがおお

「日本列島100万年史」 北海道編

◼️かつて石狩川は(日本海ではなく)太平洋に流れ込んでいた 北海道の地形史において興味深かったのは石狩川。 【上流域】 上流域においては大雪山を源流としていますが、神居古潭が流れの行く手を阻んだ結果、旭川(上川盆地)に土砂が堆積し、神居古潭の先には扇状地が発生しませんでした。 【中流域】 神居古潭を過ぎてからは、標高差の乏しい石狩平野を、ゆったりとした流れとなって蛇行。その後の河川改修によって、川の蛇行は人工的に抑えられ、石狩平野に多くの三日月湖を生む結果となりましたが、

「日本列島100万年史」書評ー列島編

<概要> 最初にプレートテクトニクスから入って全体の説明をした後、日本列島を「北海道」「東北」「関東」「近畿」「中国・ 四国」「九州」の5つのエリアに分けて、エリアごとの地球科学的な地形の成立にまつわるエピソードを紹介したブルーバックスシリーズ。 <コメント> 地形学は地理学なのか地球科学なのか微妙なところですが、地理学自体はサイエンスとカルチャーをクロスオーバーした最も興味深い学問の一つであることには間違いありません。 まず地形そして文化、という順番で人間社会を俯瞰す

唐津の風土

佐賀県唐津市は、位置的には「東経140度」ピッタリということで私の生まれ故郷、千葉県船橋市の「東経130度」ピッタリからちょうど西に10度という縁のある土地。 唐(中国)に津(港)という意味の唐津は、かつて松浦(まつら)と呼ばれ、肥前国の玄界灘に面するエリア。もともと佐賀県&長崎県は肥前、熊本県は肥後だから、両方とも火(肥)の国に由来した火山の国。 ◼️唐津平野と唐津城 背振山地という、プレートの沈み込みによって水分が吸収され花崗岩となって形成された地形を松浦川や玉島川が