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「日本列島100万年史」 北海道編
◼️かつて石狩川は(日本海ではなく)太平洋に流れ込んでいた
北海道の地形史において興味深かったのは石狩川。
【上流域】
上流域においては大雪山を源流としていますが、神居古潭が流れの行く手を阻んだ結果、旭川(上川盆地)に土砂が堆積し、神居古潭の先には扇状地が発生しませんでした。
【中流域】
神居古潭を過ぎてからは、標高差の乏しい石狩平野を、ゆったりとした流れとなって蛇行。その後の河川改修によって、川の蛇行は人工的に抑えられ、石狩平野に多くの三日月湖を生む結果となりましたが、実は石狩川が蛇行している時代は全長370kmと信濃川(367km)に匹敵する「日本一の長さの川」だったらしい(今は270km)。
【下流域】
石狩川は、今は日本海側に流れ込んでいますが、これは4万年前に支笏湖=カルデラの元となった支笏火山の大噴火によって千歳空港周辺に火砕流台地が生まれ、石狩川が太平洋側に流れられなくなって日本海側に方向転換したから。石狩川は「もともと太平洋に河口があった」のです。
◼️北海道と本州は一度もつながったことはない
第四紀(260万年前)以降、地球は氷期と間氷期(今は間氷期)を繰り返して海水準が上下しているわけですが、その間、津軽海峡(最水深140m)は一度も陸化しませんでした。
一方で2万年前の最終氷期には海水面が120m下がったため北海道は樺太経由でユーラシア大陸とつながり、大陸の動植物の多くが北海道にやってきました。
したがって、ヒグマ、エゾシカ、キタキツネは本州以南にはいないし、イノシシやツキノワグマは北海道にはいません(この境界線をブラキストン線という)。これは寒いから、暑いから、という気候の問題ではなく、陸地として繋がったことがないからだそう。植物についても大きく植生が異なるというのも面白い。
以上の他、「泥炭地」や「凍土」などの現象も解説。北海道は地質学的には他にもたくさんネタがあるようですが、本書では以上エピソードの紹介でした。
*写真:2013年秋 洞爺湖