日本列島100万年史 東北編
◼️南北に沿った山地と平野の形成
東北地方は、プレートに対して並行に列島が位置しているため、列島中部以南のような雁行配列のような斜めに並んだ山地&平地形成ではなく、プレートとパラレルに山地&平地が形成されました。
東側の盛り上がった部分が北上山地などの山地(専門用語で外弧隆起帯という)、窪んだ部分が中央低地(山形の盆地や横田盆地、さらに奥の盛り上がり部分が奥羽山脈で(同じく火山フロントと内弧リッジ)。
火山帯は海洋プレートが大陸プレートに沈み込んでプレート上面の深さがおおよそ100km付近からその上に火山帯が形成されるので、奥羽山脈の地下100kmあたりに太平洋プレートが沈み込んでいるという感じです。
◼️リアス海岸は、海水面の上下サイクルによって形成
リアス海岸は10万年ごとに繰り返す氷期と間氷期によって海水面の高さは大きく変化。氷期には大陸氷床や山岳氷河が大きく成長し、海水準は下がりますが、間氷期にはその氷が溶けて海水準は上昇。氷期の陸化による河川の侵食で沿岸部に急峻な谷が形成され、そのあと氷期が終わる一万五千年前から徐々に海水面が上がり谷に海が入り込んできて徐々に形成。
私が学生の時代は「陸地の沈降によってリアス海岸が形成」と教わりましたが仮説は変わっていくものです。特に地球科学の世界は学問自体が発展途上で新しい説がどんどん古い説をアップデートしていく、というまさに醍醐味のある学問。最新の仮説ではリアス海岸は、260年前の第四紀以降、氷期と間氷期の寒暖のサイクルが生まれたことで、起きた地形ということ。
東日本大震災など、地震発生のメカニズム(=地下の断層運動)がわかってきたのも、50年前でつい最近のことらしい。実は津波は地震の振動で発生するのではありません。
海底が地殻変動で広い範囲に渡って一瞬に隆起したり、沈降したりすることで、その上の海水が一斉に動かされて発生するのです。
リアス海岸に話を戻すと、更に①削れにくい硬い岩石でできていること(硬いから狭くて急な谷になる)、②川の流域が狭いこと(→運ぶ土砂が少ないから平野ができない)、が条件になります。
一方で、リアス海岸は「過渡期の地形」といわれ、今は海面が上昇して寒い時代の海面が下がった時代の陸地(溺れ谷という)に海が流れ込んだ状態ですが、この状況が続くと海によって先端の岬が削られ、削られた土砂が砂州を形成して湾が生まれ、いずれ平地になってしまうからです。
*2014年:宮城県松島