日本列島100万年史 「中部編」
■富士山はどうして美しいのか?
富士山は、紐や鎖などの両端を持って垂らした時にできる「カテナリー曲線」と呼ばれる曲線状の斜面を持った成層火山
だから。
火山はマグマの噴出によって形成されますが、マグマはシリカ(二酸化珪素)の成分(※)の割合によってその性格が決まります。
富士山はシリカが少ないために粘り気がない「玄武岩質マグマ」となり、噴火のたびに緩やかに流れて、ちょうど溶かしたチョコレートを山の上から何重にも垂らしてかけたようになるので、美しい「カテナリー曲線」となって形成されたのです。
※シリカ成分:52%未満=玄武岩質、52%−66%=安山岩質、66%以上=流紋岩質
粘り気の少ない溶岩は、噴火してもすぐに固まらないので、そのままダラダラと流れ出るため爆発が少なく、同じ玄武岩質のハワイ島や伊豆大島などでも人が定住可能。
関東平野は赤い色の関東ローム層で覆われていますが、これは富士山の噴火物である玄武岩に鉄分が多く含まれているのでそれが酸化したから。
600年ぶりの1707年の宝永噴火以降、噴火はありませんが、ここ30年ぐらいの間に起こると言われている南海トラフ地震のタイミングで噴火するかもしれないそうです。
■V字谷(川の地形)とU字谷(氷河の地形)
アルプス山脈には、標高が高いため日本にはあまりみられない氷河の跡があります。それがU字谷で、北アルプスの「涸沢カール」「槍沢カール」、立山連峰の「山崎カール」、中央アルプスの「千畳敷カール」など、氷河が削ってできた谷が残っています。
氷河は川と違ってゆっくり重い石が動くように流れるので、谷がU字型になります。今は氷期と氷期の間氷期にあたるので、氷期にあった氷河が溶けてなくなり、U字谷だけが残っているわけです。
一方、川で削られた谷は、川が鋭いナイフのように切り刻んで侵食していくので、V字型になります。ほとんどの谷がV字型なのは、ほとんどの谷は川が削って作られた谷だからです。
中部地方でも、その地形は内的営力(プレート運動による火山活動)と外的営力(H2Oによる侵食)によって形成されているのがよくわかりました。