
セブンのPB惣菜に見る、成熟市場で衰退しないために持つべき視点|週刊小売業界ニュース|2024/7/15週
2024年7月15日~7月21日の日本の最新ニュースから、
最近の小売り業界について紐解いていきましょう。
今週のおさらいに、ぜひどうぞ!
セブンイレブン、執念のPB開発で超えた「魔の10年」コンビニ大全⑦ - 日本経済新聞
<記事の要約>
セブン―イレブン・ジャパンが成長に自信を持ったのは、1976年に100店達成した時です。米国からコンビニを持ち込んだ鈴木敏文専務は感涙。以降、急速な成長を遂げ、92年に5000店、2003年には1万店を突破。2000年代の停滞期を乗り越え、PB商品「セブンプレミアム」などで再成長を果たしました。
いきなりですが、気鋭のマーケッター森岡毅氏(株式会社刀)が
株式会社ニップン(旧 日本製粉株式会社)との協業声明において、
次のようなメッセージを述べられています。
企業がマーケティングを"本気"で導入すれば、成熟市場やコモディティ市場でさえ動かし成長することが可能である
ニップン × 刀 協業発表会 本日開催』
(PR TIMES)
ビジネスの教科書において、それぞれの市場は一般的に
導入期→成長期→成熟期→衰退期
という順番で、市場が興っては廃れてゆくと説明されます。

前述の森岡氏のメッセージは、この一般論を疑う点で非常に重要で、
企業が移り変わる消費者ニーズを捕えてないから衰退するのではないか
逆にその時々のニーズに事業内容をこまめにアップデートすることにより成長⇋成熟を行き来でき、衰退を免れるのではないか
無意識に「成熟産業だから○○」と考えてしまう色眼鏡を外してくれます。
コンビニ市場では、2015年まで店舗数が増加基調にありましたが
17年以降は店舗数のゆるやかな縮小および減収が目立ちはじめ、
方々から「コンビニも成熟期に入った」との声がささやかれました。
セブンイレブンのここ15年の取り組みは、
時代のニーズに商品ラインナップを合わせることで
成熟期から成長期への若返りを目指すものでした。
その商品戦略や店頭拡販のきっかけは2009年に遡る。「背景には当時の社会環境がありました。少子高齢化、女性の社会進出など。世帯人数が減少する中、コンビニのあり方も問われるように。そんな時、“近くて便利”というテーマと共に、「美味しいものが近くで買えたらいいよね」というニーズに答えていきたいところで手掛けたのが、お惣菜や7Pデリカの開発だったのです」
「“手抜き”ではなく“手作り”感を追求」』(Oricon News)
今では「高いけど美味しいし、手軽に買える」が
当たり前のセブンプレミアム商品の開発の裏には、
時代のトレンドを読んだ商品戦略がありました。
加えてコロナ禍においては、
同社は常に“適量”を考えている。パスタやグラタンでいえば、以前はそれ一品で満腹になる大容量だった。だが時代と共に健康志向は年々強まり、コロナ禍でその傾向はさらに加速。食卓にぽつんと一つパスタ…ではなく、野菜や肉もあった方がいい気がする…と考えるようになった人も多いのではないだろうか。その“時代の流れ”を汲んだセブン‐イレブンは、今年から通常サイズよりひと回り少量のグラタン『小さなフリコ』も発売。「男性や若者、学生だけではない、女性など違う客層の方々が買ってくださるようになりました」と、サイズ縮小により、客層は逆に拡大しているようだ。
もし自社の置かれた市場が成熟していると感じている場合、
顧客のニーズは少しずつ変化しているのではないか?
また自社はそのニーズに追随できているか?
と見つめ直してみると思いがけない鉱脈があるかもしれません。
※成熟市場かどうかを判断する方法として、
市場全体が成長傾向にあるかどうか
競合企業間で価格競争関係にあるかどうか
という視点があります。
<担当者からの一言>
「安売りではなく、いいものの価値を伝えるのか。それなら前向きに取り組もう」。セブンイレブンのPB製品は、加工食品だけにとどまらず、弁当・冷食・常備品・食品素材・日用雑貨まで、様々なジャンルに渡っています。中食の調査を見ると、「コンビニ惣菜で十分」という声も多く見られるようにもあり、店舗減を補う収益の柱となっていることが見えてくる。
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