本日の読書 #071 「職業と結びつく個性」
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参考書籍:『私とは何か「個人」から「分人」へ』平野啓一郎
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第一章 「本当の自分」はどこにあるか より
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職業と結びつく個性。
5才の息子は、「大工さんになりたい!」とたまに言う。
レゴが好きなキミらしいよ、と微笑ましく思う一方で、何となくモヤモヤする気持ちもあった。
それを、本書の著者である平野啓一郎さんが上手に言語化してくれた。
その違和感とは、
「まだ生まれて5年そこらの子どもが、もう自分の将来の在り方を “職業” に結びつけていること」
にあった。
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とかく私たちは「個性」を「職業」と結びつけがちだ。
自分の幼少期を振り返れば、
将来の夢はなんですか?
と、何度も何度も訊かれた。
親にも訊かれたし、教師にも尋ねられた。
作文を書かされた記憶もある。
大工、ケーキ屋さん、医者、サッカー選手、お嫁さん。
結果的に誰もが「わたしの将来の夢」を持っていて、その用意のない子でも「とりあえずの答え」を求められた。
毎年「なりたい職業ランキング」が更新され続けていることからも、現在においてそれが続いていることが予想できる。
私はこの質問が好きではなかった。
そもそも将来のことなんてよく分からないし、「答えた職業によって大人の反応がちょっと違うこと」にも気が付いていた。
著者は「私たちが個性を職業に結びつけたがるのは、それを社会が求めたから」だとする。
「誰かの思いを届けるのが好きな人」が居たから、郵便配達員という仕事ができたのではない。
「手紙を配達する必要性」が発生したから、郵便配達員という仕事が生まれ、そこに「ちょうどいい個性の人」が充てがわれたのだ。
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私は、子どもには「何になりたいか」ではなく、「どうありたいか」を考えていてほしい。
だから息子に「将来何になりたい?」と訊いたことはない。
それは妻もそうだ。
しかし彼は、いつの間にか「僕は大工さんになる!」と言うようになった。
子どもの「なりたい!」に水を差すような親になるつもりは無いが、必ずしも職業を決めてかかる必要はないんだ。君は自由なんだ。ということは、10年後くらいに伝えたいと思う。
「職業」という名の金属型が、本来は何の制限も受けないハズだった「子どもの可能性」を、成形してしまうのかもしれないから。
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