本日の読書 #063 「水田に生まれる生態系」
参考書籍:『米の日本史』佐藤洋一郎
第二章 水田、国家経営される──自然改造はじまりの時代 より
水田に生まれる生態系。
我が家は、家を出て15秒も歩けば田園風景が広がっている。
当たり前の風景すぎて今まで見逃していたが、本書を読んで思った。
考えてみれば、田んぼって不思議だ。
人間が人間の都合で、ある時期には水を引いてきて、またある時期には水を抜く。
であるにも関わらず、そこにはアメンボが浮いていて、オタマジャクシが育ち、小魚が群れをなし、アオサギが佇む。
つまり、人間が自ら作り上げた「水田」というシステムによって、新しい生態系が生まれているということだ。
こういうのを「人為生態系」などと呼ぶらしい。
特に日本は約3000年前から水田稲作が継続して行われてきたために、両生類を中心に大量の固有種がいるようだ。
こちらのサイトによれば、水田生態系の特徴には、
「人間の手によって肥料などが投入され,栄養塩類が豊富である」
とある。
つまり人間の作った「水田」を、生命維持の手段として気に入ってくれた生き物たちがいるということ。
国立歴史民俗博物館の安室先生による論考も興味深い。
(楽しくなってきて、色々調べてしまった)
こちらの文章には、昨今の傾向として「地域の子どもの環境教育の場として田んぼが見直されてきた」とある。
ああ、たしかに。
こんなに素敵な教材が身近にあったのに、今までちゃんと向き合ってこなかったな。
「この田んぼが、たくさんの生き物のおうちになっているんだよ」
「ほら見て、アメンボがいるでしょ?」
「人間が作ったものを、自然が選んでくれるのは、うれしいことなんだ」
そんな話しかけを、早速、子どもたちにしてみた。
5才の息子は「ふーん、そうなんだぁ」
2才の娘は「あめんぼぅ!」と言った。
うん、それでよし!
これからも子どもたちに、彼らの知らない「もうひとつの世界の見方」を伝えていこう。
そして、正しく伝えるために、まず自分自身が正しく知ろう。
そんな学びのある読書だった。
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