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2024年11月に読了した本(5冊)の紹介
2024年11月が終わりました。
今月読了したのは以下の5冊です(番外編含む)。
それぞれ簡単に書評を書いていきます。
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長いので、下記の目次から気になるところだけ読んでもらうと良いかもしれません。
それでは今月もよろしくお願いします。
『推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない』
先月読んだ『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』の著者である三宅香帆さんの本をもう一冊読みたくなって読みました。
詳しい書評は、別途記事にしてあるのでこちらを読んでみてください。
自分の中では、
「読んだ(読んでいる)本に対して、読書記録を残すまでは他の人の感想を見ない」
というマイルールを作ることができたので、読んで良かったです。
言語化とは、「どこが」どうだったのかを、細分化してそれぞれを言葉にしていく作業なのです。
『クマはなぜ人里に出てきたのか』
図書館で背表紙のタイトルを見て、すぐに借りました。
ここ数年、確かにクマが出没しただ何だというニュースをよく耳にして。
Xでも「クマを駆除すること」に対して侃々諤々、過激なものも含め、いろいろな意見を目にしました。
本書はタイトル通り、こうしたテーマに徹底的に向き合おうとした本なわけですが、面白いのはデータや理論といった「机上論」ではなく、あくまで著者が「直接」現地に赴き、結論を出している点。
秋田県に行って現地の人から話を聞き、クマの食事の痕跡を辿り、時には糞便の中身まで確認している。
本書の価値は、そんな「インターネットにさえ落ちていない一次情報」にこそあると感じました。
だからこそ、著者が現地の人から聞いたクマの生態なんかが要所要所で散りばめられていて、知的好奇心の刺激という意味でとても楽しめました。
特に「ツキノワグマが有害植物を使って、冬眠する前にわざと便秘になって、冬眠した後にわざと下痢になる」という習性が衝撃的で、息子にもすぐ話しました。
「クマの出没と減反政策に関連性がある」という話も興味深かったです。
「クマが人里に出てきているなんて、怖いね〜」
「クマを人間の都合で駆除するなんて、かわいそう!」
「いやいや実際に被害が出ているんだから、駆除しないと!」
こうした「何となくフワッとした感情論」に対して、高い解像度の視点を提供してくれる書籍だったと感じます。
面白かったです。
ツキノワグマの狩猟をめぐっては、これからも適正個体数という自然科学分野での話と、個体を殺すことへの抵抗感すなわち社会科学分野での話の両面から、議論が重ねられていくことでしょう。
『独学の技法』
久しぶりにこの手の本を読みましたね。
ただ、その他の同系統書籍とは一線を画するところがあって。
その主張を本書から抜粋してみます。
世の中には多くの「独学に関する本」があり、私もかつてそれらに目を通したことがあるのですが、こうした本のほとんどは「独学術」というよりも、むしろ「読書術」や「図書館利用術」というべきものでした。
うーむ、確かに。
私がこれまで読んできたインプットに関する本も、大抵「どんな本を読むべきか」とか「どんな方法で読むべきか」に終始していました。
たとえば「哲学を学びましょう」とか「読むときは線を引きましょう」とかですね。
でも本書によれば、
「そもそも独学において "インプット" は最重要項目ではない」し、
「そもそもインプットの手段は "本" でなくても良い」というのです。
独学というと「本でお勉強」というイメージを思い浮かべる人が多いのですが、実は独学にはさまざまなインプットソースがあり、それらを組み合わせることが重要だ、ということを忘れてはなりません。
そんな「著者が独自に構築した体系」に、しっかりした「理論的な裏打ち」が加わって、説得力と新規性の大きな良書となっています。
何かを学ぶにあたり、まず読んでおいて損はないと思いますね。
※最近、文庫版が出たようです。今から買うならコチラをオススメします。
番外編1 『感動する地図帖』
英国で合計10万部! 10カ国で刊行の話題の地図帖、ついに邦訳。
とのことで、イギリスの方が編著した本だそうです。
表紙を見て分かる通り、基本的には全ページに「色分けされた世界地図」が載っていて、いろんなテーマで視覚的に違いが捉えられるようになっています。
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「東京圏よりも人口の少ない世界の国・地域」
「世界の女性の平均身長」
「車は道路のどちら側を走る?」
など、面白いテーマが結構たくさんありました。
ただ、同じくらい「これはあんまり興味ないかな」という項目も多く、フルカラーなので高額になってしまっているのは惜しい。
日本人が興味持ちそうなテーマを集めて作り直したら面白そうだな、と思いました。
ただ長男は喜んでました。パット見てカラフルでキレイなので、小学生ぐらいの子どもと一緒に読むとイイと思います。
パッと見るだけで世界の解像度が上がる
番外編2 『かがみの孤城』
数年ぶりに、小説を読みました。
何を読めばいいか分からず、とりあえず本屋大賞を調べて、こちらを。
「不登校の子どもたち」をテーマにした本作品ですが、10人くらいいる登場人物の中で、最初から最後まで「こころ(主人公)のお母さん」に感情移入していました。
(そんな読み方している人あまりいなさそう)
作中に「フリースクール」の先生がキーパーソンとして描かれていて、もしやと思って著者へのインタビュー記事を探したら、やっぱり著者自らフリースクールやフリーカウンセラーに取材をしていたことが分かりました。
ここに「カウンセラーの仕事は風であってほしい」という言葉が出てきます。
子どもから見て、辛いことがあったけど、気付いたら平気になっていた。何となく「自分を引っ張ってくれる風」が吹いていた気がする──とそれぐらいの存在感で。
もしわが子が学校に行けなくなったとき、子どもは何を考え、何をしたいのか。そして何をしてほしくないのか。
そのあたりの気持ちの機微がよく分かる小説でした。
読む人にとってはこの本自体が、そういう風のような存在になるかもしれない。
オマケ : 読書に関するポリシーについて
私の読書に関するポリシーが分かる記事をいくつか置いておきます。
どれか一つだけでも、読んでいただけると嬉しいです。
また、私の読書記録の作り方はコチラ。
まとめ
2024年11月に読了した本を5冊、紹介してみました。
今月はゆったりと本が読めて良かったです。
◆ 現在読み進めている本の一覧を載せておきます。
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尊敬する今井むつみ先生の『「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか?』が読みづらくて積んでしまっています。何となく「ベストセラー作家のビジネス書を、とにかく最速で出そう」という編集者の意図が透けてしまい、そこがどうも気になる。
その点『学力喪失』の方は良いですね。『言語の本質』と『算数文章題が読めない子どもたち』を足し合わせたような新書で、今のところ新しい発見はあまり無いですが、ずっと家に保管しておきたい本です。
また私の好きな「学びのきほん」シリーズより『大人のためのお金学』を読み始めました。
中高で始まった「金融教育」について、著者のスタンスとしては「"上手に貯めて、賢く増やす" ことだけを教えていて良いのか!?」というもの。これも、興味があります。
***
今回紹介した自分の記事の一覧を改めて載せておきます。
リンクから記事に飛べますので、よろしければどうぞ。
実践的「推し語り」論──『推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない』書評
読書の面白さは、自分が「にじみ出る」ことにある。
「何の役にも立たない知識」が役に立つ、その瞬間が好きだ
私の特殊すぎる読書記録の作り方を公開してみる
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先月の紹介はコチラ。
それでは、また。
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