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ルワンダ キガリで訪れたNiyo Arts Center
タンザニア ザンジバル島を後にして向かったのは、ルワンダ キガリだ。
ルワンダは丘稜が連なった地形の美しさから「千の丘の国」と呼ばれ、マウンテンゴリラが生息している有名な自然公園もある。
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だが、今は平和なルワンダは、過去に凄惨な歴史を持つ国でもある。
それは「ルワンダ虐殺」と呼ばれている。
遠い昔の話でなく、たった約30年前の出来事。
私はアフリカを訪れる前まで、そのような歴史があったことを知らなかった。
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↓以下の記事で、ルワンダ虐殺についてとても分かりやすくまとめてくださっています。
元々、ルワンダにはツチ族とフツ族がおり、民族同士うまく共存していた。
しかしルワンダを植民地支配していたベルギーの統治政策で、両民族は優劣を押し付けられ、互いに憎しみ合うようになってしまう。
そしてラジオから流れたヘイトスピーチに洗脳され、多数派のフツ族(約85%)が少数派のツチ族(約15%)を、ナタなどの武器を持って襲いかかるジェノサイドが勃発した。
教師が生徒を殺し、医者が患者を殺し、司祭が信者を殺した。
犠牲者のほとんどが、同じ村の住民によって殺され、たった100日間で80万人以上が亡くなったとされる。
ユニセフの調査によると、80%の子どもが家族の死を経験、70%の子どもが誰かが殺されたり危害を加えられるのを見たという。
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街を歩いていても、ルワンダの人々は心なしか、人との距離感を感じる。
私のようなアジア人を見ても、タンザニア人のようにすぐに話しかけてくることはないし、目が合ってもさっと逸らされてしまう感覚があった。
それはきっと気のせいではないだろう。
現在ルワンダでは、紛争が終結し、ジェノサイドの被害者と加害者が再び同じ村で暮らしている現状がある。
彼らが一緒に暮らす上で、赦しや和解がなされていると言われている。
しかし赦しや和解は、口で言うほどやさしくない。
実際は、葛藤を抱えながらも、ジェノサイドの当事者一人一人が、地道に平和を築いてる過程なのだという。
私は市内にあるNiyo Arts Centerに訪れた。(入場料無料)
ここは路上で暮らす子供たち、シングルマザー、大量虐殺の生存者、そして貧困に苦しむ人々をアートを通じて支援するために設立された。
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カラフルな入り口を通って、敷地内に入るとカフェも隣接されている。
そして、施設内は色とりどりのアートが飾られていた。
動物をメインにした絵が多いが、どれもカラフルでパワーがみなぎっている。
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施設の奥に進むと、アーティストが数名、新たな絵を制作していた。
そのうちの一人が話しかけてくれた。
彼は30代くらいで、ブレイズヘアのよく似合う青年だった。
「よく来てくれたね。ここは10人以上のアーティストがそれぞれアートを創作して、収益の一部を貧困で困っている人の支援に繋げているんだ。」
このNiyo財団ではダンス、ドラム、裁縫、手工芸品の生産、そして何よりも手を使って価値を創造する方法を学ぶ機会を提供しているという。
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「いろんな人と出会うことで、俺に新しいインスピレーションを与えてくれる。だから、こうして来てくれる人と話すのが楽しみなのさ。」
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「絵を通して、俺の感情や情熱を表現している。楽しいことも、悲しいことも、辛いことも、嬉しいことも、全て俺の大切な感情なんだ。俺は自分の感情をアートで表現することが大好きさ。」
彼も、紛争やジェノサイドによって多くの影響を受けてきた一人であろう。
でも彼は、それを微塵も感じさせない明るさがあった。
私はそれが不思議でしょうがなかった。
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彼らは想像を絶する経験をした。
隣人に大切な人を殺されたら、私はどんな反応をするだろうか。
ショック過ぎて、現実が受け止められないだろう。
悲しくて怖くて、生きている意味を見失うかもしれない。
同じ目に合わせてやりたいと、怒りや憎しみで狂ってしまうかもしれない。
私には想像しきれない。
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だけど、被害者にとって加害者をずっと憎しみ続けるのも、恨み続けるのも、きっと苦しいことだと思う。
過去に囚われて、「今」という時間すらも身動きが取れなくなってしまう。
だから彼らは少しづつ、自分の人生のためにも、その過去と向き合い、相手を赦し、和解しようと歩み出しているのかもしれない。
加害者も、過去の過ちを悔い改め、自分にできる償いを必死で行っていると信じたい。
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トラウマやストレス、悲しみなどの心の中に抑圧されていた感情は、言葉だけでは表せないこともある。
それらをダンスや絵などで表現することで外に放出され、感情の解放と緩和が促進されると言われる。
この施設では、どんな形でも良いから自分の感情を表現することの大切さや可能性を学ばせてもらった。
世界中で争いが絶えない今、私たちに必要なのは表現するチカラなのかもしれない。
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自分の人生を歩み続けられることを祈って。